突然ですが、現在のカナダの首相の名前はご存知ですか?

Justin Trudeauと言って、2015年の総選挙で勝利したカナダ自由党の党首。確か、43-44歳とかなり若い首相。
 
現在の日本の首相、安倍さんの1回目の首相就任時より若いんじゃないかな??


彼のお父さん、Joseph Philippe Pierre Yves Elliott Trudeauさんも、実はカナダの首相経験者。しかも、1960年、1970年、1980年代と、合計15年近く首相を経験しており、大変有名な方。ちなみに、モントリオール国際空港は、彼の名前を取って「ピエール・トルドー空港」と言います。

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現首相のJustinさんは確か去年日本を訪問し、その時日本のテレビでは「イケメン首相」という形で紹介されていたと思います。


 
彼も、彼のお父さんのPierreさんも、出身はケベック州。また、首相になるくらいですので、当然Billingual(英語・フランス語)です。



その言語についての問題が今大きくクローズアップされています。。



問題はカナダ時間今週火曜日(2017/01/17)、カナダ首相のJustinさんは、ケベック州のSherbrookeという都市において、カナダ国民とのディスカッションに参加していました。この都市以前にも、色々とカナダ国中の都市を回ってディスカッションを行っていたみたいです。この行い自体は素晴らしいと思います、自分たちの行っている政策についてキチンと説明できる場、質問を受け付ける場となりますので。



しかも、その質問内容が、「現在、ケベック州では精神科治療をフランス語でしか受診できないし、サポートされていない。英語を話す人たちのために、英語で治療等が受けられるように、連邦政府は何か考えや計画があるでしょうか?」というものだったんです。それをフランス語で答えるのは、ちょっと適切ではなかったですね・・・。


それに対して、現在までに3件の公式のクレームが政府関連事務所(Office of the Commissioner of Official Languages.)に寄せられている模様、しかも正式な調査が入る予定です。。。


この辺りはやはりカナダ国民(カナダで生まれ育った人)でないと理解が難しい問題なのかもしれませんね。少なくとも、私は知識・理屈としては理解できますが、感情面というか心の面での理解は難しいです。。。


そもそも、ここケベック州はカナダ国内においても、他の州と比べてかなり異質。
 
ケベック州では「フランス語」のみが公用語として扱われています。ですので、街中の道路標識、看板等は全てフランス語のみ。

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(これが日本で言う”止まれ”の標識。フランス語表記だけなんです、ケベック州の大部分では。)
 

 
以前のブログでモントリオール地下鉄のご紹介をさせてもらいましたが、駅構内のアナウンスもフランス語のみ。
それほど徹底されています。


さらにさらに、ケベック州内の仕事募集情報では必ず「Billingual必須」となっています。もちろん、英語のみの仕事もありますが、フランス語のみが公用語という建前上、そういう募集要項になっているようです。ただ、本当にBillingualじゃないといけない仕事もたくさんありますので、基本的には「フランス語を話せないと良い仕事にはありつけない」というのがケベック州だと思います。その他にも、当局からは以下のような通達・指導がオフィスに入ることがあります:

1. オフィス人員が確か20名以上の規模になった場合、スタッフの半数はフランス語を話せないといけない。
2. 同じく、オフィス人員が20名以上の規模になった場合、オフィスで使用しているキーボードはフランス語表記でないといけない。
3. オフィス内の張り紙(整理整頓、ごみはここに!などのお知らせ張り紙など)は、必ずフランス語で書かれていないといけない。(英語のみの張り紙はダメ。フランス語のみ、もしくはフランス語と英語の両方表記。)


などなどなど。。。前の会社にいたとき、その会社のスタートアップ直後からいたので、それから約4年近く、会社の成長に関係してきました。

 
その際、会社の規模が大きくなったところで、当局から抜き打ちの検査が入って、「オフィスの張り紙はフランスも併記してくださいね」って注意されたことがあります。。


これには実は移民政策も少しだけ関係してくるんです。世界中、特にアジアやアラブ諸国からの移民が毎年沢山入ってくるケベック州。
 
州人口に対するフランス語を話す人たちの割合がどんどん下がってきているんです。
 
それに対して「ケベック州の文化・フランス語の文化を守ろう」という人たち、政党で言えばPQ(Parti Québécois:ケベック党というケベック州内の地域政党)の支持者や政治家たちが、フランス語やフランス語文化保護にいろいろと動いているんです。


私もフランス語は話せませんので、正直ここモントリオールでの就活では本当に苦労しました。ラッキーなことに、以前の会社そして今の会社と、フランス語を必要としない仕事を見つけることができ、採用させていただきましたが、モントリオールにいる日本人の友達の中にも、やはり就活で苦労している方もたくさんいらっしゃいました。。優秀な学歴・職歴を持っているのに、レストランのサーバとして働いていたり、などなど。。


また、ケベック州、特にモントリオールには少ないながらも英語を話す人たちのコミュニティーもあります。そういう人たちから見たら、今回の事件は差別的と映るかもしれませんね。。

 
そういった人たち・コミュニティーが今回のJustin首相の問題に素早く反応した一面もあると思います。


私個人的には、上記のようなフランス語・フランス語文化保護政策には賛成です。それによって、私自身(及びフランス語を話せない人たち)にはマイナスの影響もあるかもしれませんが、ケベック州のアイデンティティを守るため、州の歴史や文化を守るためには必要なことだと思います。例えば、以下のような提案もケベック州内にあります:



これに対しては、上記PQはYES、Liberal(自由党)はNOと言っています。実際、現時点でもケベック州の移民プログラムにおいてはフランス語のテストは必須(特定条件下では免除)だったはずです。Liberalは「これは差別だ」と言って反対していますが、それは論点が違うと思います、個人的には。


フランス語が公用語の州への移民者が、フランス語を喋れない。。州側からしてその移民を受け入れるメリットはなんでしょうか?
 
例えば、医学の権威とか、ITですごい業績を上げている人など、特定の人については特別なビザプログラムがあります。それは、そういう人たちをケベック州に招くことによって、ケベック州の経済活性化につながるし、医療分野での進歩など、メリットが大きいからです。


一方、普通に一般人が移民を申請する場合は、上記のようにケベック州へのメリットがあまり見えない以上、移民プログラムに沿って「移民できるかどうか・移民ビザを取得できるかどうか」のチェックが入ります。その一つにフランス語が話せる、というのがあるのです。

私の場合は結婚移民でしたので、フランス語のテストはありませんでしたが、今後はこの結婚移民でもフランス語のテストを行うべき、という意見もあります。

例えば、日本語を話せない人に「日本に住んでよいですよ」と言った場合、その人は日本で生活できるでしょうか?
 
日本語が話せない以上、仕事もほとんどないと思います。移民を受け入れるメリットの一つとして、経済の活性化(税収増)があります。移民の方たちが働いて税を納める。。でも働けない人を日本に連れてきてどうするのでしょうか??問題はここだと思います。


まあ、この”移民政策”については、また別途ブログでお話させてもらえればと思いますが、移民の”数の力”というのは、多分日本人が思っている以上に大きいものがあると、私は感じています。日本がこの先の成長を見据えた場合、移民を積極的に受け入れていくのか、それとも国内での出生率を上げていく策を取るのか、その参考になると思います、カナダや他の国の移民政策は。


(ただ、このブログを書いている2017年現在、イギリスのEU離脱や移民制限を掲げていたトランプさんの大統領選の勝利、ヨーロッパでの右寄りの政党の躍進などを見てみると、現在は”移民に厳しい”時代に入っていると思います。この辺りはまた別のブログ(明日?)で・・・。)


そういえば、アメリカでは明日就任式ですね。ちょっと楽しみかも。 


さて話は戻りますが、Justin首相の反応に対しては、”差別”(フランス語を話す人たちと英語を話す人たちに対する)というより、「フランス語を公用語とする州なので、フランス語で答えた」だけなのかもしれませんね、真相はわかりませんが。ただ、もしそうだとしたら、やはりちょっと軽率でしたね。英語での質問には英語で答えるのが、まあ少なくとも「当たり前」というか、「礼儀」ですよね。その部分に対しては、Justin首相は非難されても仕方ないと思いますが、”差別だ!”と言って、大事にするものではないのでは??と思います。彼も里帰りで心が緩んでいたり、このカナダ横断ツアーでの疲れ等もあるでしょうから・・。
 

が、これもカナダから見たら「外国人」である私の個人的な意見ですので、もしかしたらカナダ人に取ったら、この問題はもっと繊細でデリケートな部分なのかもしれませんね。。。。


ただ、この質問した女性も、「これを言葉・言語の問題にしないで欲しい。私は率直に精神科治療の問題として取り扱ってほしい。」とコメントしていたように、マスコミが騒ぎすぎたきらいも見えなくはないですね・・。


本日も思いつくまま、ながなが・だらだらと書いてしまいました・・・。
お付き合いいただき、ありがとうございました!
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