昨日のトランプさんの就任演説でも言っていましたが、各国首脳にとって大切なもの・重要な約束の一つが「国内雇用」を守る・高めること。これは誰が大統領・首相になっても、またどの国においても優先度が高い事項だと思いますので、昨日のトランプさんが言うように「強いアメリカを取り戻す」(=雇用機会を国内に取り戻す)と言うのは、国を預かるリーダーとしてはごく当たり前・普通のことかもしれませんね。なので、しばらくはアメリカやイギリスを含めて、内向きな政策が多くなるかもしれません、世界的に。

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さてその雇用や労働について。


自己紹介の中でお話ししていますが、私は今までいろいろな国で色々な業種を経験してきました。
もちろん、日本でも。もう一度ざっと下に私の経歴を記しておきます:

- システムエンジニア・プログラマー (日本・約6年)
- 日本語教師のボランティア (アイルランド・1年)
- オンラインゲームのカスタマーサポート (イギリス/キプロス・1年)
- レストランでの調理担当 (ニュージーランド・1年強)
- ツアーガイド・雑誌やテレビの撮影コーディネータ (ドバイ・2年弱)
- レストランでの調理担当 (カナダ・1年)
- オンラインゲームの翻訳 (カナダ・1年弱)
- シニア・オペレーション・アナリスト (カナダ・4年弱)


と流れて、現在ではデジタルマーケティングに関するお仕事に約1年前から就いております。


上記経験から、日本と世界の労働条件やルール、仕事に対する考え方の違いなど、本当に色々と面白い体験をしてきましたので、少しご紹介したいと思います。


①. 日本以外でも残業(時間外勤務)は多い!


よく「日本の残業の多さはひどい」とか、「海外では定時になるとみんなさっと帰る」と言いますよね、日本では。
その部分はあながち間違いではありませんが、でも海外でもよく残業はしますよ。現在お世話になっている会社においても、特にUpper Managementクラスで、都度判断・指示を出す役職の人は、私の知る限り夜遅くまでメールチェックしています。まあ、業種的に「世界にお客様を持っている」ため、時差の関係でというのはあります。が、残業を全くしない人はいませんし、むしろ場合によっては日本人より残業時間が多い時もありますよ。


ただ、私も経験しましたが、日本の場合は「無駄な残業」が多いと思います。
特に、「上司・同僚が帰らないから、自分も帰りづらい」という環境。そのせいで、翌日以降でもよい仕事を残業でしたり・・・。ある人が言っていましたが、「仕事に”終わり”なんてものはないんだから、毎日自分でけじめをつけて管理して、Work Life Balanceを取っていきなさい」と。。至言だなー、って思った記憶があります。


②. 日本は労働者の権利重視!


これも皆さん聞いたことがあるかもしれませんが、日本では労働者の権利が本当に強いですよね。
特に「簡単に解雇できない」というもの。。。私は前職では日本オフィスの管理もしていましたが、いくら注意しても勤務態度が悪いスタッフ、自分の都合・意見を押し付けるだけで会社のやり方に従わないスタッフなどなどたくさんの問題児の対応をしていました。その際は、顧問社労士さんと一緒に警告を出したりして、時間をかけてようやく解雇(自主退職)に持っていきましたが、本当にエネルギーと時間をつかった、重労働でした。


これってメリットもデメリットもあると思うんです。雇用する側からしたら、「このスタッフが問題の多いスタッフかどうかわからないし、そのリスクをとるくらいなら契約スタッフとして雇用したほうが何かと安全」という考えになると思います。つまり、雇われる側からしたら「安定雇用」されないリスクが出てくると思うんです。いったん雇用されれば安心感が出てきますが、そこに至るまでの”関門”が狭い。。


欧米の場合は全く逆です。この”関門”は広く開いておりますが、「安定雇用」かどうかは本当に本人次第、会社を取り巻く状況次第なんです。
 
これも前職になりますが、アメリカの店舗の管理もしておりました。アメリカやカナダは各州独自のルールがありますが、カリフォルニア州では”At Will(いつでも思った通りに)”契約でした。多分、アメリカのほかの州でも同じだと思いますが。。

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これは、雇用期間の明示がなく、ただいつでも・いかなる理由でも雇用者側・被雇用者側どちらかからでも一方的に契約解除ができるというものです。いきなり「今日仕事辞めます」っていうのも可能ですし、会社側から「君、今この時点でくびね」っていうのもあり。しかもどちらも理由は必要ないんです。


よくアメリカの映画で、主人公やその友人が会社に出社したのちに自分の机の周りのものを段ボールに詰めて会社を出ていくっていうシーン見たことありませんか??

あれがこのAt Will契約による解雇なんです。


まあ、日本とアメリカの場合は両極端ですが、カナダもアメリカに近いかな?

カナダの場合は、勤務年数に応じて”解雇通知”を行う期間が決まります。通常は2週間ですが、勤務年数が5年を超えると3週間など。。
 
ただ日本のように段階を踏む必要はありませんが、アメリカのように”いかなる理由でも”というわけにはいかず、解雇にはある程度の理由は必要となってきますが。

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その国その国にお国事情があるので何とも言えませんが、日本の現状のルールはちょっとやはり行き過ぎっていうのは、経験から感じます。
 
言葉は悪いですが、いったん雇用されれば「仕事が出来ない・有能でない」スタッフも守られ、逆に有能なスタッフの雇用・就労が妨げられる状況だと思います。
 
このあたりを他の国と比べてみても、もう少しルールを緩くしてもよいのではないでしょうか??

(見方によっては、日本の現行ルールは社会主義的な”みんな平等・みんなで幸せに”っていう考えが強く感じます。ただ、この”みんな平等に”という部分は、結果に対して言うのではなくチャンスに対して言うべきなのでは??と、個人的には感じます。結果に対しての平等は、やる気のある有能な人たちからモチベーションを奪ってしまいますしねチャンスは平等に与えるが、その結果はあなた次第、というのが理想だと思いました。)


③. 使わなかった・使えなかった有給休暇は買取!


カナダではそうなんです!まあ、基本的にはみな使い切ることが多いですが、悠久の有効期間は1年~2年くらいだったと思います。
 
その間に使い切れなかったものは、日本のように”消滅”ではなく、会社が”買取”という形で給与に反映されるんです、法律として・・。
 
日本ももう少し有給休暇を取りやすい環境にするか、買取にすればよいのにな、ってずっと思っていました。買取にすれば、会社からしたら”休んでも休まなくても、会社としては支払わないといけないもの”っていう考えになりますので、休暇取得しやすくなるかも?

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一方アメリカ・カリフォルニア州の場合(ほかの州も同様かもしれませんが)、「有給」自体の付与義務がないんです!有給付与はあくまでも「会社判断」であり、法律で付与しなければいけないという日本やカナダのようなものはないんです!


④. 「確定申告」は個人申請!


日本では年末調整という形で会社が個人に代わって確定申告してくれますよね?
アメリカやカナダの場合は個人申請なんです。代行業者も存在しますが、場合によってはその手数料の方が還付金より多くなったりするので、私は個人(奥さん任せですが・・)でやっています!


⑤. その他・・・・・。

- ドバイでは所得税など、給与に関する税金が一切ありません!明細額=手取り額になります!
 
- 他国では通勤費はオプション。日本の場合は慣例として、通勤費の補助を行っている会社が多いと思いますが、アメリカやカナダの場合は”有能なスタッフを雇用”する際のメリットとして提示されたり、日本と同様大きな会社ではBenefitとして提示したりします。
 
- 健康保険は会社次第!日本の場合は厚生保険(会社)や国民保険(個人)がありますよね。会社員の場合は会社加入の保険に入るという・・。カナダの場合は、会社が保険に入っている場合は、そのスタッフは強制加入ですが、保険に入るかどうかは会社次第なんです。と言っても、ある程度大きな会社は必ず保険加入していますし、またこの”保険加入”自体が、就職の際のメリットの一つとして提示される場合も多いです(通常、入社後3か月経たないと保険加入できないのですが、入社条件で入社後即保管加入あり、というメリットを提示する場合もあります)。
 
- 日本のような退職金制度はありません。また、年2回のボーナスもありません。ただし、ボーナス等に関しては、個々人の契約の中で、パフォーマンスに対してのボーナス契約はよくあります。




日本とその他の国の違いをいくつかご紹介させてもらいましたが、個人的には「日本は労働者に過度に優しく、アメリカは経営者に過度に優しい」という感じですね。この辺りは時代・時の大統領や首相によって変わってくる部分でもあると思うので、今後どうなるか見ていきたいと思っています。

また、もしかしたら当記事を読んでいただいたのち、「海外就職」に興味を覚えた方もいらっしゃると思います。
日本でも今ではたくさんの就職サイトや支援会社が海外就職のサポートをしていると思いますが、はっきり言ってよほどのスキルや特殊な経験・学位等がない限り、海外就職は難しいですよ

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(海外就職活動は本当に大変・・・。)

 
日本の就職サイト等では簡単に説明されているかもしれませんが、実際はそうではありません。受け入れる国からしたら、「あなたを受け入れるメリットは何?」、さらに言えば「国内のカナダ人ではなく、わざわざビザを発行してまで、そして国内のカナダ人ではなくあなたを雇う理由は何?」というのを明確にしなくていけないからです。


ちょっと前までは、海外就職でよく利用されていたのが「日本料理のシェフ」。これは特殊な技術が必要で、かつ日本人でないと難しいという面がありましたので。なので寿司シェフというのはビザがおりやすかったんですが、今ではどうでしょうか??
 
日本人以外の寿司シェフもたくさんいますし、今ではちょっと難しいかもしれませんね。。。それにトランプさん、イギリスの状況を見ると、海外からの労働力流入は極力避けようとする流れになってきているようですしね。


(全ブログで書いたように、日本はそれに逆行しているようにも見えますが・・・。カナダでも年々労働ビザや移民ビザの取得は難しくなっていますし、私のブラジル人の友達は移民申請から8年間もまたされてようやくカナダに入国できましたからね・・。)



海外就職というのは大変難しいところではありますが、もし興味のある方があれば遠慮なく個人的なメールでも構いませんのでご連絡くださいねー。
 
私の知っている限りのアドバイスをしますよー!