”トランプ劇場”、まだまだ続きそうですね・・。ただ、繰り返しおんなじことを言って申し訳ないですが、やっぱりこれは「段取りが悪い・稚拙・拙攻」なのが問題であって、きちんと時間をかけて十分に説明したうえで行うべきだったと思います。

特に「特定国へのビザ発給一時凍結」に関しては。永住権保持者は?既にビザが下りている人たちは?など、「起こるべき疑問」に対する対応策が何も決まっていない状況で、ただ「決定→施行」だけが先走って進んでしまった。。。


この部分を見ただけでも、政権移譲がスムーズにいっていないのと同時に、「共和党はトランプさんに協力していない」という風に感じます。また、行政側のスタッフも協力的ではないのでしょうね。。スタッフが大量に辞任したってニュースもありましたし。ただ、共和党にはブッシュ元大統領時代のスタッフや議員さんもいるわけで、トランプさんに適切なアドバイスをしてあげることができると思うんです。が、どうやらそういうことはしていないみたいですよね。少なくとも、”政治”経験、”行政”経験がある人から見れば、「ずさん・拙い」政策実行だと思うと思うんです。

RepublicanElephant


他にも、昨日ご紹介して、且つ私が危惧していた問題ですが、ホワイトハウスの報道官がケベックシティーでのモスク内銃乱射事件と、トランプ大統領の政策(特にビザ一時凍結)を結び付けてコメントした件。やはり危惧した通り、非難の対象となっています・・・。「銃乱射事件ではイスラム教徒は被害者なのに、なぜその事件が特定国のイスラム教徒の入国制限の正当な理由となるの?」と。。全くその通りですよね・・・。


この部分でも、きちんと報道官のコメントに関する事前チェックが入っていない、もしくは”政治的な影響”を考慮してチェックできる人がいない、という表れだと思います。


ちょっと違うかもしれませんが、選挙戦から現在に至るまでのトランプさんの行動って、いわゆる「劇場型」の政治行動であり、日本では小泉さんでおなじみの手法のようにも見えます。
 
 
ただ問題は、「敵」を作って求心力を高めるその手法において、「敵」にされた側に予想以上の力や支持者がいたことでしょう。。。ある意味、空回り気味と言いますか、袋小路に入りつつあるというか・・。


やはり、「政治のプロ・経験者」のサポートが一刻も早く必要だと思います。。というのは、今は逆にトランプさんが「敵」となって、アメリカ国内外のいろいろな特殊団体が「求心力」を得ていると思うから。。。カナダ(Trudeau首相)もその一人だと思います。。。特に対外的に「敵」を作りすぎると、「敵の敵は味方」という状況を作りかねないですよね。。


例えば、執拗に攻撃されている中国、メキシコ、中東諸国そして日本。この4地域が密に結びつくのは難しいところもありますが、個別には結びつく可能性は大きいと思います。日本とメキシコ、などで。まあ、それでも日本を含め世界の国はアメリカと「完全に手切れとなる」はずはありませんが、ただ「アメリカの重み」は各国とも確実に軽くなっていくでしょうね。



この状況って、うがった見方かもしれませんが、「共和党はトランプさんの人気によって今回政権についたけど、やはりトランプさんの政策は過激すぎる。しかしながら、トランプさんのコアのファンは相当数いるのでそれは無視できない。とりあえず、トランプさんの公約を実行させ(但し、党としては積極的に関与せず)、人気が落ちたところで辞任してもらい、副大統領で元インディアナ州知事(つまり政治経験豊富な)マイク・ペンスさんに大統領職を継がせようとしているのでは?」と思ってしまいます。。そうでなければ、こんなに何度も「予測可能」なミスというか、反発必至の対応や発言をするでしょうか??でももしこれが本当だったら、アメリカ国民に加え、トランプさん自身も被害者だと思います。また、これも悪しき前例になると思いますよ。共和党はトランプさんを正式な候補者にしたにもかかわらず。。。もしこのシナリオが本当だったら、共和党はいつからこのシナリオを考えていたのでしょうか・・・・。気になりますね。


外に目を向ければ、スターバックスのCEOであるHoward Schultzさんは、トランプさんへの当てつけでしょう、「今後5年間で、世界中で1万人の難民を雇用する」と発言しています。


 
ただし、これはあまり日本ではニュースになっていないかもしれませんが(こちらでもそこまで大きく報道はされていません。メディアは公正・公平っていうのは、もうどこの国でも幻想でしかないのですね・・。)、トランプ支持者たちは「スターバックス製品のボイコット」を呼び掛けて実行しているようです。。


また、カナダ時間の昨日(2017/01/30)、Trudeau首相とメキシコのNieto大統領が電話会談をし、「今後もお互いに緊密に、経済を含めていろいろと連携していきましょう」という話で合意しているみたいです。この会談の問題は、「NAFTA加盟3国のうち、アメリカを除いて話し合いを持っている、特に経済に関して」という点だと思います、しかもこのデリケートな時期に。




ただカナダ政府関係者によると、今後もNAFTA継続の話し合いの場でアメリカとの緊密な関係の継続を願い、そのための行動はしていくつもりだとのこと。ただし、その場でアメリカが主張するメキシコをターゲットにしたNAFTA改正では、メキシコを助けることはできないかもしれない、とも述べております。



これまたうがった見方かもしれませんが、世界が既に「トランプ後の世界」を見据えている、もしくは「トランプ抜き(アメリカ抜き)」の世界を考え出しているように思うんです。
 
そうなった場合、多分一番得をするのはアメリカにターゲットにされている中国でしょうね。。中国主導のTPPに代わるブロック経済の提唱もあり得るだろうし、領土拡張も今まで以上にアグレッシブに行ってくるでしょう。一方日本は厳しい立場ですね。アメリカとは引き続き良い関係を継続しつつ、やはり「新たな枠組み(政治的・経済的)」を日本主導で作り出していくべきでは、と思います。個人的には、東南アジア諸国やオセアニア諸国との連携が一つ、ヨーロッパ諸国との連携が一つ、そして南米・アフリカ諸国との連携の3つがカギであり、優先順位は①アジア、②ヨーロッパ、そして③アフリカ・南米かな?と思います。


アメリカが今後影響力が小さくなっていくとしても、やはり「共通の価値観」を有している国とは仲良くしていくべきでしょう。有事のため、何かあった時のため、国際社会で沢山の”仲間・友達”を作っておくのは日本にとってプラスであれ、決してマイナスにはならないはずですから。結局、今世界中で起こっている争いって、突き詰めれば「共通の価値観」がないためであり、それを話し合いで解決できないので問題なんですよね。そう考えると、小さな点では相違するところが多々あるとはいえ、大枠で共通の価値観を有する国とつながるって本当に大事なことだと思います。



最後に、いまだ続くであろう”トランプ劇場”。
 
繰り返しになりますが、私が本当に怖いのは、”選挙で・正しい手順で選ばれた人(大統領)が、”好き・嫌い”という感情的な理由で攻撃される・罷免される”ことです。
 
もし本当にトランプさんが、民衆の運動により退陣・大統領職を辞める、という事態になると「秩序の崩壊」となると思います。「自分たちが気に入らなければ、いかに大統領とは言え/いかに正式な手順で選ばれたと言え(法律よりも感情で、民衆の力で)辞めさせることができる」と言う「悪しき前例」を作ることになります。


私も現在の民主主義の主要部分である「多数決」が完全なシステムだとは思っていません。少数派の意見も取り込むために議会があり、また交渉があると思うんです。
 
そしていわゆる”落としどころ”で合意して物事が進む。。これが現時点では理想的な”民主主義”というものだと、拙い知識ですが個人的にはそう思っています。


確かに(何度も言うように)、トランプさんの就任から今までの政策実行は段取りが悪すぎる面もあります。が、今トランプさんに反対している人たちの中で、本当にトランプさんの政策をキチンと理解して反対している人たちがどれだけいるでしょうか?私には、選挙戦から続く「クリントン支持者=反トランプ」の感情的な行動、ネガティブキャンペーンの側面も強いと思います。なので上記のような「秩序の崩壊」を危惧しているんです。トランプさんも歩み寄りつつ(これは共和党の人たちが説得してでも行うべきだと思います)、且つ今は反トランプさんの人たちもしっかりとその政策の意図・根本部分を理解して、代替案を出しながら”Second Best”な解決案を模索していく・・・。理想的すぎますかね??


トランプさんはまずは”味方”を作るのが急務ではないでしょうか、特に共和党内部で。早く政権を安定させないと、本当に「トランプ抜き(アメリカ抜き)」の世界観がマスコミから紹介され、それによって世界中の人々がそれが「現実」になると思い、ますますトランプさん・アメリカの求心力がなくなり・・・、と悪循環にはまりそう・・。


ぜひぜひ、共和党の人とまずはしっかり話をしてほしいですね、アメリカのためそして世界のために・・。