トランプさんの「特定国からの入国一時凍結」処理がいろいろは波紋を呼んでおります、それは隣国カナダでも。
むしろ、隣国なだけにその影響は他の国より大きいと思います。


その影響の一つに、「カナダとアメリカ間で合意している”The Safe Third Country Agreement”を破棄しよう、もしくは一時凍結しよう」という動きがあります。
 
この”The Safe Third Country Agreement”、日本語に直すと「安全な第三国間の協定」とでも言うのでしょうか??


この条約?協定?、私も調べてみましたが、ちょっとわかりづらいところもありますので、ざっっくりと(私が理解している範囲で)説明させていただきますね。
 
もしこの協定について詳しくご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひコメントを頂ければと思います!


まずは”The Safe Third Country”=安全な第三国の定義について。
これは、例えば難民として受け入れることを希望する人たち(以下、”難民申請者”とします)が、「現在滞在している国、及び彼・彼女の出身国」以外で、「迫害などの生命を脅かす危険性のない国」を指します。ややこしいですねー、特に国際的な取り決めに関する文言の定義って・・。


で、ここがポイントですが、「”安全な第三国”に難民申請者を送還することができる」という点です。これが今、カナダ国内でこの「カナダとアメリカ間で合意している”The Safe Third Country Agreement”を破棄しよう、もしくは一時凍結しよう」という動きの最大の理由となるところなんです。

The Safe Third Country Agreement   01


もう少し詳しく、特にカナダとアメリカ間でのこの条約についてみていきますね。


カナダとアメリカは、お互いの国を「安全な第三国」として、2003年にこの条約に調印し、2004年から同条約の実施・施工を始めました。
そのメリットとしては:

- 難民申請者の申請先国のえり好みをなくすため。
- 複数国に同時に難民申請することを防ぎ、特定国が各難民の申請に責任を持つようにするため。

などが挙げられています。確かに理に適っている部分もあると思います。。


その上での”The Safe Third Country Agreement”の運用方法は:

1. 北米に上陸した難民申請者は、最初に上陸した国(カナダもしくはアメリカ)で”難民申請”を行わないといけない。
2. 一方の国で難民申請した申請者がもう一方の国に上陸・入国しようとした際は、難民申請した国に送還することができる。
(例えば、アメリカに上陸して難民申請した人がカナダへの入国を試みようとした場合、カナダは無条件にその人をアメリカに送還できる、ということです。)
3. 但し、この”送還”が適用されるのは陸路国境を越えようとした場合のみで、空港経由(飛行機利用)や湊経由(船経由)でもう一方の国に入る時には適用されない。
(なので、この条約自体あまり効力がない、とも言われています。)
4. また、陸路での入国の場合も、「既に家族が入国しようとしているもう一方の国にいる場合、18歳未満の未婚者でどちらの国にも家族がいない場合」など、複数の例外条件を設けており、その例外条件を満たしていると、やはり送還されない。


となっています。まあ、色々と穴がある条約ですが、10数年運用されてきていました。
 
The Safe Third Country Agreement   02

 
が、元々カナダでこの条約が適用される際にも、条約施行反対運動は起こっていたんです。というのは、「アメリカは本当に”安全な第三国”なのか?」という疑問があったから。
 
アメリカにも毎年数多くの難民が訪れますが、そのうち難民認定されるのは本当にごくわずか。残りはやはり国外退去・強制送還されてしまうんです。なので、「安全な第三国」には当たらない、というのが当時の反対派の主張でした。それがくしくも10数年後、裏付けられましたね、トランプさんによって。。

トランプさんのこの政策の意図は分からなくもないのですが、反対派に良いきっかけを与えたのは事実でしょう。


これに対してカナダ政府の移民相は、まずはトランプさんが発行したこの一時凍結政策を精査してみるのが先決、という話をしております。
 
というのも、この政策が発行されて以来、「永住権者は別」など、色々と二転三転しているので、本当にこの条約を一時停止する必要があるかどうかを見極める必要があるからです。


さてさて、その結果どうなることでしょうか・・・・・。


(このブログはCBC Montreal News等の情報を元に作成しました。)