最近はいろいろと事件が起こり、カナダ・アメリカのニュースが中心になっていましたが、私が住んでいるモントリオールという街、及びケベック州についてご紹介したいと思います!


日本人にとって、モントリオールという言葉から連想するものはどういったものでしょうか?
 
50歳以上の年代の方であれば、「夏季オリンピック(1976年開催)」が思い起こされるでしょうか?

1976_Summer_Olympics_logo

 
もしくは、野球ファンの方であれば、「モントリオール・エクスポス(2004年にアメリカ・ワシントン市に身売り)」でしょうか??

Expos 01

 
はたまた、カナダの国技・アイスホッケーファンであれば、NHLで最多の優勝回数を誇る古豪・「モントリオール・カナディエンズ」が思い浮かぶでしょうか?

Habs 01


モントリオールという言葉から連想するものはいろいろあるでしょう、もしくは全く思いつかない!という方もいらっしゃると思います。

このネット社会、調べたいこと・情報はすぐにネットを通して手に入れることができると思いますでの、基本的な情報はWikipediaなどに任せます

Montreal 02


なので、私の個人的な経験から、モントリオール(もしくはケベック州)の「良いところ・あまり良くないところ」をご紹介できればと思います!!


まずは「良いところ」。私が個人的に思うに・・・・:


1. 「モザイク」都市。

世界中から沢山の国の人が集まっているので、色々な文化に触れることができます。
モントリオール市内には、中華街は勿論、Little Italyと言われるイタリア街、その他「移民元」の国の歴史や文化を伝えるところが数多くあります。

また、ケベック州は公用語はフランス語とは言え、世界各国(主にアメリカやカナダ国内)から大企業が進出しているモントリオール
 
多国籍企業などグローバルにビジネスを展開している企業ではどうしてもビジネス上(仕事上)の言語は”英語”になってしまいます。
 
以前ブログでお伝えした通り、ケベック州ではフランス語能力が就活では必須で、実際フランス語が話せないと仕事も限られてくることも事実ですが、特にグローバルに活動する企業では”フランス語の縛り”が緩いと思います。


私が現在働いている会社でも、カナダ人(フランス語が母国語のケベック人と、それ以外の英語が母国語のカナダ人)以外のスタッフが多いと思います。
 
ざっと見ただけでも、アメリカ人、中国人、ベネズエラ人、モロッコ人、ドイツ人、ロシア人、ブラジル人、チリ人、アルゼンチン人、イギリス人、イラン人、などなどなど・・・。


そうなると、英語での意思疎通になります。もちろん英語が話せるというのは絶対条件ですが、大多数のスタッフは英語が母国語ではないので細かなところでの文法上の間違いは多々あります。でも気にしません、「言いたいこと・伝えたい事」がきちんと伝わればそれでOKですから。


この環境は、個人的に「日本人向き」だと思います。

日本人で英語を勉強している人たちの多くは、「完璧な文法を使わないと、ネイティブに笑われる」とか、「ネイティブとお話するとちょっと気が引ける」という風な気持ちになっている人が多いのではないでしょうか?私も、初めて海外(アイルランド)に行くまではそうでした。が、特にネイティブの方は、私が「英語を母国語としていない」というのはすぐにわかったので、色々と親切に教えてくれました。「どう伝えるかより、何を伝えるかが大事」って、アイルランドのホストマザーに言われたことが今でも心に残っています。


これが実践できる環境だと思うんです、モザイク都市って。私の英語も文法は完ぺきではないし、日本語独特のアクセントがあって聞き取りづらい点も多々あると思いますよ。
 
でもそれは、言い直したり繰り返し伝えれば良いわけですし、それで気後れしていては仕事はできませんからね・・。逆に、聞き取りずらい英語を話す人たちもいっぱいいますし、まあ本当に良い経験ですよ!


2. 授業料が安い!

これは学生さん限定ですが、モントリオールの学校は、北米で一番授業料が安いんです!
なので、世界中から沢山の学生さんがやってきて、大学等を卒業後、モントリオールで就職。そして永住権獲得、という流れが多いと思います。
 
カナダ(ケベック州)にしても、世界中から優秀な学生さんをカナダに「つなぎとめる・確保する」ことができる、すなわち街としてビジネスとして継続的に成長していけるということでメリットも多いと思います。


3. 大都市や観光都市に近い!

まあモントリオール自体が大都市(カナダ第二の都市)ですが、カナダ第一の都市トロントへは飛行機で1時間、車で5,6時間ほど。
 
ケベック州の州都で歴史的建造物が沢山あるケベックシティーには車で3時間ほど。
 
カナダの首都・オタワへは車で約1時間強。
 
更にアメリカのニューヨークへも飛行機で1時間ほど、車で7,8時間ほど。
 
同じく、アメリカのボストンやワシントンもニューヨークと同時間程度で行けると思います。

また、アメリカ大陸西部方面(ロサンジェルスやサンフランシスコ、カナダのカルガリーやバンクーバーなど)へは飛行機で5,6時間とちょっとかかりますが、反対方向でヨーロッパのイギリス・ロンドン、フランス・パリなどにも確か飛行機で7,8時間で行けたはず。

日本への帰国は遠くて時間がかかりますが(直行便がないのですが、合計飛行時間は16-17時間くらいでしょうか)、ヨーロッパ、アメリカ各都市、南米などへのアクセスは比較的良いですよ。

Old Montreal 01


4. 医療費が基本無料!

これも賛否両論あって、またこれが原因で移民政策を見直したものでもありますが、基本的に病院での診察等は無料なんです。勿論、カナダ市民及び永住権保持者に限ります。

なので、ちょっとしたことでもみんな病院に行くので待ち時間が8時間、9時間とか、下手したら翌日、っていうのはよくあることらしいんです。
 
幸い、私はまだカナダの病院にお世話になったことはありませんが、私の友達の義理のお母さんがフランスからやってきてケベックシティーを観光しているときに、誤って足を滑らせて骨折。
 
そのまま病院に運ばれたんですが、なんとそこで手術するまで12時間待たされたんですって!痛み止め等の処理は行ったんでしょうが・・・。

病院に行く必要もない人たちが来たりして問題だったり、医者不足が問題だったり、はたまたこの医療費無料制度を支える社会保険料の高さが問題だったりと、色々批判もありますが、医療費無料政策はおおむね好意的に受け入れられています。


5. 「出産・子育て」へのサポートが充実!

カナダの中でも特にケベック州はこの手のサポートが充実しています。
 
Maternity Leave (出産・育児休暇)は確か最大1年半取れますし、男性も取れます。休暇中は行政機関より、月収の約80%が支払われますし、また企業(特に大企業)によっては企業独自のサポートもしています。また子ども手当のように、子供1名につきいくら、という形で行政からのサポートがあります。

ただこれが”不正”の温床になっていることもあるんです・・・。例えば、ケベック州には移民を対象にして「無料フランス語レッスン」が各地域で開催されているのですが、これはケベック州で「フランス語を話す」人口が減っている状況を止めるために作られたものでもあります。そして今ではもっと優遇サポートを付与しており、「このフランス語レッスンを受ける人たちは、フランス語レッスンを受けるために働くことができないと思いますので、ご家庭の子供の数に応じて別途サポートを支給します」という風になっているんです。なので、子だくさんの移民家族(の母親)が、フランス語レッスンを受けつつ、学期末の試験ではいつも意図的に落第していつまでもフランス語レッスンを受ける(つまり、いつまでもサポートを受ける)という不正が・・・。

これは結構大きな問題で、このフランス語の無料レッスンをなくすべき、という話も出ていますが、どうなることでしょうか。。
 
ちなみに私も1度だけこの無料レッスンに行ったんですが、はっきり言ってレベルが低く、本当にフランス語を勉強したい人には向いていません。これも地域によるでしょうが、クラスのほぼ全員がこの”不正”目当てで、本気でフランス語の習得をしようと思っている人はいない、というクラスもあるそうです。。

ケベック州では、給与から独自の社会保険:Quebec Parental Insurance Plan (QPIP)を天引きしており、これが上記サポートに充てられているみたいなんです。
 
まあ、福祉国家がずらっと並ぶ北欧諸国と同様、「高福祉=高社会保険料納付」って図式ですねー。この社会保険料は毎年少しずつですがアップしていますし。


6. 夏はイベントが盛りだくさん!

夏のモントリオールは、毎週市内のどこかでイベントが!
有名なところではジャズフェスティバル。他にも音楽関係のイベントで、街の一角を車の通行を止めていくつものステージを形成。観客は気に入ったステージで音楽を楽しむ、っていうのがあったり、F1グランプリなどのスポーツ系のイベントもあったりと、夏のモントリオールは1週間でいろんなイベントを楽しめてお得です!


「良いところ」はこんな感じでしょうか・・・。もし何か他にもあれば教えてください!


逆に「あまり良くないところ」としては・・・:


1. 社会保険が高い!

上記のとおり、高福祉を支えるための社会保険料がかなり高いんです・・・。


2. 税金が高い!

ケベック州の州税はカナダで一番高いです!連邦税・州税併せて、現在約15%。。。日本の8%がうらやましい。。。
しかも上記の社会保険の天引きも同様ですが、毎年天引き額が上がっているんです・・・。


3. フランス語がネック!

上記の「良いところ」とちょっと矛盾するかもしれませんが、ものすごく有用なスキルや社会経験がない限り、フランス語を話せないというのはケベック州での就活ではかなりマイナスです。
 
”運”によるところもあると思いますが(私は個人的には自分は運がよかったなーって思います)、いくら日本で良い大学を卒業していても、いくら日本で良い社会経験を持っていたとしても、フランス語ができなかったら就活は難しいでしょう・・・。また、「英語のみ」や「日本語と英語」というような募集職にはそれこそめちゃくちゃ応募者が来ますので、そこで仕事を得るのも一苦労だと思います・・。

また、地下鉄やバスの車内、公共の場でのアナウンスはフランス語のみが原則ですので、フランス語が理解できないと何が起こっているのかわからない!っていう状況も多々あります・・。


4. 夏は暑くて、冬は凍えるほど寒い!!

日本の京都と一緒かもしれません、「夏は蒸し暑く、冬は芯から冷える」、それがモントリオール。
モントリオールはサン・ロラン川という大きな川の中州。つまり、”湿度”がめちゃくちゃあるんです。
しかも夏は気温30℃以上。日本の夏と一緒です。蒸し暑い夏・・・・。これはまだ我慢できるんです、日本で嫌と言うほど経験していますからね。

Montreal 01
 

ただ冬の湿度は耐えられないです!!
 
1年間だけ住んでいたカナダ西部のカルガリーは逆に湿度がほとんどないので、外がー20℃くらいなら、Tシャツの上にジャケットを羽織るくらいで十分防寒になっていました、個人差あると思いますが本当に。。
 
でもモントリオールでは無理。。湿度があるから、日本で言う”芯から冷える”状態。。。私は九州出身で、人生のほとんどを九州で過ごしてきましたので、やはり寒い気候には慣れなくて、毎年冬に苦労しています。逆に、北海道の人とかはモントリオールの冬には苦労しないかも・・・。


5. 日本人が少ない!

まあ、私は別にモントリオールで日本人の友達が欲しい!探したい!とは思わないので、この点では別に「あまり良くないところ」ではないのです、実は。
 
誤解のないように言っておきますが、私も日本人の友達が沢山いますよ、モントリオールには。ほとんどが仕事を介して友達になったんです。

私にとって「日本人が少ない」デメリットは、「日本食・日本商品が手に入らない・もしくは異様に高い」というものなんです。やっぱり日本人が他の大都市と比べてそんなに多くはないので、日本食品店などを大規模に構えてもあまりビジネス上のうまみがないのでしょうね、それは理解できます。

モントリオールにも日本人経営の小さな雑貨屋さんや日本人経営のお寿司屋さん・レストランがあり、地元でそれなりに人気なんです。
が、高い・・・・。

正直、お寿司くらいなら、日本人が経営しているレストランに行かなくとも、アジア系のお寿司屋さんでも十分同じクオリティーのお寿司を、より安い値段で楽しめますし。
 
また、中華系のスーパーに行けば、全部ではありませんが、まあまあほしいものはありますよ。

ただ、トロントとかニューヨークとか、日本人が大勢いるところに比べるとやっぱり品ぞろえが違うんです!!
それは本当にうらやましい・・・。たまに奥さんとトロントなどに旅行に行くときは、必ずJ-Villedgeだったかな?に行ってめちゃめちゃ買い込みます。
 
またレストランとかラーメン屋さんとかお寿司屋さん、どんぶり物屋さんなど、たくさんのチョイスがあるのもうらやましいです!


ただ、モントリオールにも日本の居酒屋スタイルのお店が最近多く進出してきて、こちらの文化に合わせたものもあれば、本当に日本の居酒屋っぽいのもあります。
 
お値段はやっぱりそこそこしますが、たまに行くくらいならいいのかな・・。


こんなところでしょうか・・・。
 
特に日本の”サービスレベル”を基準にして考えると、「不便だな」と感じることが多いと思います。ただそれは、モントリオールに限らず、世界の他の都市でも同じかもしれません。

- 自販機はない。日本人以外の人にしてみたら、自販機が外に置いてあるっていうのは、「お金と商品が無造作・無防備に置かれている」という感覚なんですって。確かに屋内の自販機は見ますが、屋外ではほとんど見ませんね。
 
- 週末はほとんどのお店が営業時間が短く、祝日はほとんどのお店がお休み。週末・祝日を”ビジネスチャンス”として営業している日本とは考え方がまるっきり違います。
 
- 24時間営業のコンビニが少ない。基本的にはガソリンスタンドに併設されているところが多いでしょうか。そこも、夜10時か11時以降は、入り口ドアの開閉はお店の中のスタッフが捜査しているんです。日本のコンビニのように自動ドアではないんです。これは、怪しい人が入ってこないように、という防備策なんです。この点は、日本って防犯意識が低いのかも?って思ってしまいますよね。だって、こちらのコンビニのやり方の方が理に適っているというか、スタッフ側の安全を考えたやり方ですもんね。


Diversity (多様性)って、体験してみると本当に面白いですよー。