まずは以下のYouTube映像をご覧ください。こちらはカナダのCBCニュースよりのものですが、カナダ - アメリカ国境で先日来沢山の難民申請者が不法に越境してくるというニュースをご紹介いたしました。


それに関して、CBCニュースはある国境にカメラを設置してその映像を24時間配信しているようです。



特にケベック州はアメリカの4州(メーン州、ニュー・ハンプシャー州、バーモント州、そしてニューヨーク州)と国境を接しており、また多くの国境が何のチェックもない、普通の道路の延長ですので、こういった不法入国の問題は深刻です。

このニュースでいろいろなことがわかりました。。私が「誤解」していて、以前のブログにて誤った情報をお伝えしていたものもあります。。。すいません・・・・。


まず、カナダの国境警備員や入国審査官、警察がどのようにこういった”不法入国者”を見つけるかと言うと、いくつのかの国を跨ぐ道路において監視カメラ等を設置しているので、そこで怪しい人影等を発見したらすぐに警察が飛んでいくんだそうです。その上で、その人たちに「このままカナダ側に来ると不法入国となります。ここから○○km離れたところに入国管理している国境があるので、そちらで正式な手続きを取って入国してください。重ねますが、このままカナダに入国すると、カナダの法律に違反する不法入国となりますので逮捕いたします。」と、警告をするのだそうです。

でもたいていの場合は逮捕されるのを望む、と。。。だって、逮捕された後に「難民申請」するのだから、逮捕の方が良いと。。


Boarder 01 (CBCMontreal)

(CBC Newsサイトより。今ケベック州とアメリカの国境にはこのような警告広告が設置されています。)


ここで私が勘違いしていたことが。以前ブログでお話していた通り、カナダとアメリカの間では”Safe Third Country Agreement”と呼ばれる、安全な第三国協定を結んでおります。

 
この協定は、一方の国で難民申請した者がもう一方の国で同じように難民申請しようとして入国を試みた場合、既に難民申請した国に強制送還できる、というもの。

 
つまり、上記例で言うと、カナダに不法入国したとして逮捕された人たちは、アメリカに強制送還される、ということです。


が、このように”不法入国”してきた場合はこの”Safe Third Country Agreement”が適用されないみたいなんです!!


知らなかった・・・・。と言うより、それではこの協定自体”ざる”というか、抜け道がいっぱいありそうですよね。。


但し、です。


こうして不法入国してきた人のうち、カナダの難民申請が却下された場合、その人たちは勿論自分たちの国籍のある国、つまり自分たちが捨ててきた故国に強制送還されます。
 
アメリカではなく、です。これは当然と言えば当然かもしれません、自分たちで”アメリカでの難民申請”ステータスを放棄しているのですから。なので、本当はアメリカで難民申請しているにも関わらずカナダに不法入国してくるのはかなりリスクが高いんです。この部分での誤解が、たくさんの不法入国者を生み、そして最悪の結果(自国への強制送還)を生みそうです。


当たり前のことですが、どこの国でも”難民”を申請するには、「自国にいては生命の危機」があることを証明しないといけません。

 
そういった意味では、シリアなどの内戦が続いている国、独裁者がいるアフリカの国からの難民申請は理解できます。それでも、その人の自国での置かれている状況次第だと思います。
 
それによっては、上記のとおり難民申請が却下される恐れが。個人的な感想ですが、今カナダに不法入国してきている人たちは、「このままアメリカにいても、今の状況だと難民申請が通らない。なのでカナダにいこう。」という安易な考えで越境していると思うんです。でもそこが誤解の元ですが、カナダに入国できた・カナダで難民申請できた、と言ってもそれで「(永久に・ずっと)カナダに合法的に滞在できる」わけではありません。一時的に入国許可されているだけなんです。上記のように、審査によっては却下される可能性があるのはアメリカと同様。また、カナダでの難民申請は1人につき生涯一度きり。今回もし却下されたら、もうカナダへの難民申請は生涯無理なんです。

Refugees 03 (CBCMontreal)

(CBC Newsサイトより。アメリカの国境警備員の制止を振り払ってカナダに不法入国する難民申請者。)



そういったリスクを背負っての不法入国だと理解できている人がどれくらいいるのでしょうか・・・。


とにかく、こうして逮捕された不法入国者は、警察の取り調べ(指紋を取ったり、写真を取ったりなどを含めて)を終えた後に「国境管理局・入国管理局」に身柄を移され、そこで難民申請が行われるようなんです。そして。。。。申請後はカナダに(一時的ですが)合法的に滞在可能に。まだ難民として認定されているわけではない時点でも、カナダで自由に行動できるんです。これってちょっと怖い気もしますよね。だって、極論ですが、不法に入ってきた場合、何でもかんでも「難民申請」すれば良い(そうすれば、取りあえずはカナダに一時入国でき、その後不法滞在でもなんでもして自由に行動できる)ってなりますよね??


勿論、難民申請時の調査等で「この人はまだ監視下に置いておいた方が良い」と判断された人たちは自由にはなりませんが・・・。



案の定、このニュースがファイスブックにアップされると、人権派と呼ばれる人たちよりも、「規制派」の人たちの意見が多く集まっています。
 

つまり、「もっときちんと国境を管理しろ」と。
たいていの場合、皆「難民」という境遇に同情的ですが、それと「不法入国」はまた別の問題であるという認識が強いです。

 
トルドー首相に対しての批判も強まっています、「カナダの安全性が損なわれている」と。。


今後もますます不法入国者は増えると思いますが、はやく国としての方針、もしくは州政府としての方針を示さないと、地元住人の不安は募るばかりで、それがいつか大爆発して大きな衝突を生みそうで怖いです・・・。






(当ブログ記事内で使用している写真・画像等は、特に出典の明記がない限り、著作権フリーの画像及び私が撮影したものを使用しております。)