今日は日本のニュースから、働き方についてのカナダと日本の比較をもう一度お話しできれば、と思います。
 
日本のニュースで、「残業100時間/月が容認される方向に」というのがありました。経団連側等は「繁忙期だけ」という条件を付けてのことだから大丈夫、と言っているそうですが、そもそもその「繁忙期」の定義があいまいですよね?しかも、業種によって変わってくるのでは??例えばチェーンの飲食店の場合。これっていくらでも「拡大解釈」できるんじゃないんですか??


- 1月はお正月でお客さんがいっぱい来るから繁忙期。
- 3月は卒業シーズンでお客さんがいっぱい来るから繁忙期。
- 4月は入学・入社シーズンでお客さんがいっぱい来るから繁忙期。
- 5月はゴールデンウィークを含めてお客さんがいっぱい来るから繁忙期。
- 7月は梅雨が明けて夏休みも始まるのでお客さんがいっぱい来るから繁忙期。
- 8月は夏休みでお客さんがいっぱい来るから繁忙期。
- 9,10月は秋に入っていろいろなお祭りや催し物があるのでお客さんがいっぱい来るから繁忙期。


などなど。結局、この100時間容認で見えるのは、日本の政治家・官僚、そして経済界は、「企業がもうけるため、その過程でその企業が(致死量以上のストレスや業務を与えて)スタッフを殺すのを認めます」ってことを公に、世界に向けて言っているのと同じなんですよね。。
 

Overtime work 01
 

単純計算ですが、月の労働日数が20日(土日・祝日を抜いた形)とします。
 
すると月100時間の残業となると、毎日5時間の残業が必要に。毎日5時間の残業だと、朝9時が始業時間として、お昼休憩1時間入れた場合、午後11時まで毎日勤務するってことですよね。
 
その一方、思った通り定着の気配が全く見えない、「プレミアムフライデー」というこちらも労働改革というより「金儲け」の一環として始めたものも始動しましたね。。

 
(そもそも、月末って業務が忙しい時ですよね、色々な〆作業で。。経理の〆やセールス・営業の〆などなど。これを見ても、「何も考えていない人」達主導での、「押し付け」ってわかりますよねー。)


まあ、「午後3時に退社」って言うこと自体が中途半端。これも以下に述べるように、「”労働力”としてできるだけ搾取できる」ように午後3時までは最低でも働かせたい、という思惑でしょうね。
 
こんな中途半端なことを政府主導でするくらいなら、もういっそ休みにした方が良いかも。前のブログでも書きましたが、こちらカナダや欧米でも金曜日の早上がりってありますよ。でもそれは「消費喚起」のためではなく、あくまでも「プライベート生活」の充実のため。また、一人一人のスタッフが自分の裁量・責任で仕事を進められる部分が多いというのもあります。この部分は日本では無理ですよね、だってそれができれば”残業問題”がこんなに大きくなるわけないんですから。


なので、もういっそ月に1日、最終週か第3週目(月5週ある場合は第4週目)の月曜日を休みにして、3連休にしたら??

 
そっちの方がまだ結果的に消費喚起できそうだと思うし、また月末の忙しさも避けれるのでもっとたくさんの人にとって利点になりそうだと、個人的には思います・・・。

Overtime work 02


もう、日本政府や官僚、経済界が「労働者」をどうしたいのか、はっきり見えた気がします、上記2つで。
 
つまり、「会社側から見て労働者は”使い捨て”の資源であり、また同じく”商品購入”(会社を太らせる)する大事なお客さんでもある。なので、”労働者”としては使えなくなるまで目いっぱい酷使して、それでためたお金を搾り取ろう。」ということですよね、上記2つを併せて考えると。


まず、この100時間を容認している人たち、彼・彼女らに月100時間の残業をしてもらいましょう。
それもただだらだら午後11時まで会社にいるのではなく、「許容範囲を超える」仕事とプレッシャーを与えて毎日5時間の残業をしてもらいます。
 
それでも「繁忙期は月100時間は容認するべきだ!」と言えるのであれば、それはそれで認めても良いと個人的には思います。


但し、です。その場合、まず「繁忙期」の定義を明確にし、1年のうちで何月から何月の何日間が残業に当たるのか、公表してもらいます。
 
そして、その繁忙期の期間、会社上層部もお付き合いで毎日「最後の社員が帰るまで」残業に付き合ってもらいます。勿論会社上層部については残業代は一切出ません。
 
「残業をさせないと仕事が回らないという段取りの悪さ」に対する責任として一緒に致死量以上の仕事量とストレスを味わってもらいます、無償で。


結局、こういった話が出てくる、現実味のない・定着しないプランが出てくるのって、「世間・現場を知らない、もしくは現場を忘れた」人たちが理想論だけで物事を進めるからですよね。
私も若い頃、仕事で徹夜はざらに経験しましたし、月100時間まではいかなかったかもしれませんが、毎日午後9-10時過ぎまで残業というのはざらにありました。

 
でもそれを他の人、下の世代に同じように押し付けるというか、やってほしいとは一切思いません。逆に、「自分たちが苦労した環境を変えよう!」って思わないんですかね、特に経団連とかの人たちは。
そういった人たちは、「労働者」側から「経営者」側に入った時点で、昔の自分たちと同じ「労働者」を”使い捨ての資源”としてしかとらえていないんでしょうね、これを見ると。


とにかく、「金儲けのためには、企業が従業員を殺すのを容認」する日本の労働環境を変えるには、私はまず以下を行うべきだと思います:


1. 有給休暇の買取制度。有給休暇の消滅制度をなくして、未使用分は会社が買い取る形を義務付ける。そうすることで、「有給休暇を取ろうが取るまいが、会社が支払う費用・コストは同額」とすれば、有給も少しは取りやすくなるのは?と思います。


2. 残業代もきっちり支払う。みなし残業をなくす。今は労使の36協定で残業時間を会社ごとに決めることができますし、また30時間までのみなし残業も労働契約の中に含めることができると思います。それを一切やめましょう。残業した分だけしっかり会社は支払うように義務付ける。また、自己防衛の観点から、労働者は会社のタイムカードシステム以外にも、自分で自分の労働時間を記録する(いざというときのための証拠として)癖を身につけておく。


3. 雇用形態を改革する。上記のように、月100時間の残業は、1日5時間の残業と同意義。であれば、1日5時間勤務のスタッフを例えば良いこと。ただ現在の日本の雇用環境では、「簡単に解雇できない・従業員が過度に保護されている」という一面があるのも事実。なので、新規雇用を躊躇する風潮があるのも理解できます。なので、言葉は悪いですが、「労働契約解除」しやすい環境を作る必要もあると思います。もしくは、フリーランスという働き方がもっと広まるような環境。ちなみにここケベック州では、勤続年数にもよりますが、解雇2週間前に通知するか、2週間分の賃金を最終給与に加える形での即刻解雇等が可能です。これは労働者側も同様。退社2週間前に通知すれば、退社可能なんです。一方アメリカでは各州によりますが、例えばカリフォルニア州などは”At Will”という制度が。これは、「雇用する側・雇用される側、どちらもいかなる理由においても一方との雇用契約をいつなんどきでも解除できる」というもの。つまり、いつ、どこでも、どんな理由でも会社を辞めることが可能ですし、また解雇される可能性もあるんです。日本はそれは合っていないと思うので、カナダ式のもう少し緩やかな「契約解除」方法が可能になるべきだと思います。


4. 会社の中での存在価値を上げる。これは私がどの会社でも実践していっているつもりなのですが、会社の中で自分自身を「なくてはならない存在」にしていくことです。具体的には、業務に対する高いスキルを身につけたり、結果を重視した行動を取ったり、要は「こいつがいないと業務が回らない」という状態に持っていくんです。そうすることで、自分の雇用も守れますし、ある程度会社(部署)内での発言力も出てくると思うんです。小さなことですが、そうして少なくとも自分を取り巻く環境を変えていく(例えば、頻繁な残業リクエストを断る、など)のも一つの手だと思います。


5. 労災認定の基準を緩める。その上で、労災認定が下りた際、その費用と同額を会社が出すことにする。今でも、労災保険等は会社が支払っていると思いますが、それとは別に「ペナルティー」的な意味合いでの「お見舞金」を対象従業員に払うことにする。労災認定が相次いている会社上層部は刑事罰を受けることにする。だって、これってもう「傷害罪」であり「殺人未遂・殺人罪」ですからね。


まあ、思いつくままつらつらと書きましたが・・・・。


結局問題は、「残業代を払わない・必要なスタッフを雇わないことで、既存スタッフに過度に仕事を集中させることによる”低価格労働力”の確保」であり、それによってしか利益を上げることができない会社は遅かれ早かれ消滅していくと思うんです。だって、長い目で見ると、そういった会社に人は「居つかない」から。「会社組織」として問題があるところは、よーく見てみると、常にスタッフを募集しています(皆すぐ辞めていくので)。正直、私も前職を辞めたのはこの部分が理由なんです。仕事量もそうですが、まず企業として人事が全く機能していないこと。一部のスタッフがイエスマンとして社長等にべったりし、それで昇進・昇給。公平な人事制度もなく、また人員計画もないので、雇っては解雇の繰り返し。なので、私は辞めたのですが、その後も人材の流出が続き、会社自体は存続していますが、私のようなスタートアップからのスタッフはもう皆無。ビジネスとしては成長しているのかもしれませんが、「会社組織」としては悪化の一途。だって、結局そういう会社には「スキルはないけどゴマすりは得意」な人間しか残っていませんからねー。


話がそれました・・・。ただ上記私の体験を同じようなことが、今週ネットに載っていたんです、それも有名な「Uber」という企業で。
 
 
要約すると、ある女性スタッフがセクハラやパワハラの被害に遭っていたんですが、会社の人事は一切そのスタッフを助けない。人事は会社にべったり、というもの。結局、この女性はかなりスキルがあって、Uberにとっても必要な人材だったにも関わらず、引き留めることができずに退社。。。


ここから言えるのは、今回の「残業問題」等についても、会社内の「人事・総務」に助けを求めても果たして機能するかどうか疑問だということです。
 
残業や労働問題に関しては、ブログなどの形で外に発信してくのも良いでしょうし、また専門家(社労士さんや弁護士さんなど)に相談したり、同様の問題を抱えている人と情報を共有したり・・・。
私の経験上(日本の会社、外国の会社共に)、ほとんどの会社で人事部などは「会社を背負って従業員と相対する部署であり、従業員を背負って会社と交渉する部署ではない」ということ。これは上司など管理職にも当てはまるケースが多いと思います。。。


なので、結果、政治家・官僚・経済界、そして自身が働いている会社自身が、皆さんを”低価格労働力”のままにしておこうとしているんですよね。
 
会社に「殺されない」ためには、会社の外で助けを借りられる人・団体等を探すのが一番かもしれません、今の日本では。生活がありますので、急に仕事を辞めることはできないと思いますが、常に転職機会を探しつつ、スキルを磨き、そしていざ転職の際は断固とした態度を取る(上にほだされずにしっかりと退職の意思を伝える)というのが現実的かも。


悲しいですが、上記残業月100時間容認へ、というニュースを見て、まだまだ日本では”労働者が使い捨てされる”時代が続くと感じました・・・。
 
何でもかんでも欧米に学べ!とは思いませんが、「生命の危機」を感じるようなことについては、日本の外から学ぶのが一番良いかと思います。




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