ちょっと日本人としては判断が難しいかもしれませんが、本日カナダ・モントリオールのニュースサイトに「黒人運転手、度重なる警察の職務質問に対して訴えを起こす」というのがありました。

正式には裁判所に訴えを起こしたのではなく、「人権委員会」に正式に不満を送り付けた、ということのようです。この男性、メルセデスベンツを運転しているのですが、きまって警察から職質を受け、この車が本当にこの男性のものかの証明の提示を求められるそうなんです。

African American MAR142017 01


度々そういうことが起こる状況に嫌気がさしたのでしょう、彼は社内にビデオカメラを備え付けて、「いかに職質されるか」を録画していたそうです。
 
ただ、警察により無情にもビデオを削除されたり、職質に反抗したということで手錠を掛けられ、「公務執行妨害で訴えられる可能性がある」などと言われたこともあるそうです。


この件ではケベック州の黒人団体がモントリオール警察に対して集団提訴も考えているようです。


この事件、日本人の感覚としては「人種差別」ととらえて良いのかどうか、正直疑問です。と言うのは、彼が「黒人」だから警察は職質を繰り返すのか、それとも警察官の勘として彼が「何か事件を起こした・起こしそう」に見えるから職質を繰り返すのか、そこが明らかになっていないからです。仮に「何か事件を起こした・起こしそう」に見えるから職質を繰り返していた場合、勿論そういうのは職質を受ける側としては気持ちの良いものではないと思いますが、「防犯」という観点からは警察の行動は「あり」だと思うんです。

Martin Lu MAR142017 01


以前、日本のお笑いコンビのライセンス・井本さんが、「自転車で通行していると、必ず警察官に職質で止められる」という話をしていました。一方相方の藤原さんは「今まで一度も職質されたことはない」と。
 
つまり、「職質されやすい人とされにくい人」がいるんだと思うんです。もちろんモントリオール警察(及びカナダの全ての警察官)の中には、「黒人=犯罪」という風な暴論が頭の中にある人もいるかもしれません。そういう人は反省し、考えを改める必要がありますが、これを集団提訴して賠償金をもらうとか、職質できなくする(できづらくする)とかは、上記のような「防犯」思想上危険だと思うんです。


正直私はモントリオールで生活していて、黒人の方たちに恐怖というか危ないというか、そういったものを感じたことはありません。この点でもアメリカの「黒人像・イメージ」とは違っていると思うんですが、やはりステレオ・タイプなイメージ、テレビやメディアでのイメージが頭に刷り込まれているカナダ人も沢山いるんでしょう。。。


「黒人だから・・・」ということでの職質やその他行動や偏見は勿論やめるべきですし、それが続く場合には何かしら罰則を与えても良いと思います。

 
が一方で、「警察官としての経験上・勘で」という部分であれば、確かにこの方には嫌な思いをさせるとは思いますが、「防犯」という考えの元、理解いただくのが一番だと思います・・。


この辺りはやはり「単一民族」が大半の日本では理解しにくい問題ですよねー・・・。私も「頭・知識」としては理解できますが、いまいち「納得」できないんですよね、このニュース。。


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