カナダの移民政策では、各州が独自のプログラムを用意しています。

例えばカナダ中部のマニトバ州。カナダ西部の都市・バンクーバーやカリ狩り、エドモントン、そしてカナダ東部の都市・トロント、オタワ、モントリオール。この2つの大都市圏に挟まれて、人口がどうしても少ない地域ですので、比較的移民ビザの取得がしやすいプログラムを用意しているみたいです。


また、ケベック州も移民しやすい州として有名
なので、実際沢山の人がケベック州で移民申請を行っているんです。
ケベック州の移民プログラムは他の州と同様、「ポイント制」を導入しています。


申請者の学歴や職歴、取得資格等を考慮してポイントを加算していき、一定値を超えると移民申請が可能になったり、移民申請時の各種テストが免除になったりします。例えば、確かケベック州の大学を卒業すると、ポイントが大幅に加算されて、フランス語等のテストが必要なかったはず。


しかしながら、今回ケベック州政府の移民担当相が発表したところによると、ケベック州では今後も移民申請者に対して「抜き打ち」でのフランス語テストを行う予定。今回行われたところによると、約600名の移民申請者がこの抜き打ちテストを実施され、かなりの数の人が「フランス語能力に問題あり」と診断されているようです。つまり、移民付加になる可能性が高い、と・・・。


この抜き打ちテストに関しては賛否両論叫ばれております。
ケベック州独自のフランス語文化を守るために必要、そもそもフランス語圏に移民してくるのだからフランス語を話せないとダメ、など。一方、相変わらずケベック州はフランス語に固執し古臭い考えが大勢を占めている、時流に逆行している、などの批判も。


私は個人的にはフランス語のテストをしても良いと思うんです。だって、ケベック州はフランス語の州ですから・・。それに、よっぽど特殊なスキル・ケベック州でどうしても必要な人材であれば、多分この抜き打ちテストからは除外されるでしょうしね。フランス語文化を守るという観点では正しいのでは?と思います。


ただそれに対して「理不尽な批判」をしている記事も見られます。
例えば、ケベック州には「Quebec Experience Program」と言うプログラムがあり、これは職業訓練をしながらフランス語を学ぶプログラムで広く外国人にも門戸を開いて
おります。


このプログラムに参加した中国人のXianqi Chengさんも、今回この抜き打ちテストに引っかかり、彼の移民申請は却下されました。そしてそのことについてニュースではケベック州政府を批判したり、Chengさんもケベック州の移民局に抗議の手紙を書くつもりだそうです。


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(自動車整備工場で働くChengさん。CBC News サイトより。)

でもそもそもこの「Quebec Experience Program」は移民を保証しているプログラムではありません。また、このプログラム内ではフランス語のレッスンが入っているんです。そのレッスンを受けたにもかかわらず、つまりかなりの時間をフランス語習得に費やしたにもかかわらずフランス語のテストで思わしい成績が残せなかったのは、それはもう本人の能力不足・努力不足ですよね。

SURPRISE TEST APR282017 01
(ChengさんのQuebec Experience Program。CBC Newsサイトより。)

それで結果に文句をつけるのは筋が通らないと思います。ようは、成績不良で退学になるのと同様ですよね。その部分にまで文句をつける、結果を覆そうとするのはいただけないと思います。


確かに抜き打ちのテストは不公平だ、と言うのは理解できますが、そもそも「フランス語の習得」がカリキュラムに入っているプログラム等を通して移民申請している人たちへのテストはアリだと思うし、それで成績が悪かったら移民申請却下されるのも当然だと思います。


なにか、世界中どこでもそれが理に沿っているかどうかにかかわらず、「自分に不都合なことはSNS等を通して世界中に発信して、世論を変えて結果を覆そう」とする風潮が跋扈しているような気がして、なんだか悲しい気持ちになりました・・・。


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