今年初めから3月頃まで、カナダの話題はアメリカから不法に国境を越えて入国してくる不法移民の話題で持ちきりでした。彼らはトランプ大統領の誕生により、自分たちのアメリカ国内での滞在ステータスに不安を感じ、続々と不法にカナダに入ってきていたんです。


なぜ不法に入国するかというと、これらの人たちは既にアメリカ国内で”難民申請”を行っているため、合法的にカナダに入国しようとすると、「難民申請した国(この場合はアメリカ)に強制送還」されるためなんです。


なので不法に入国し、カナダ国内で逮捕された後に難民申請を改めて行う・・。


ただし、これらの人々は合法的に難民申請した人たちの後に審査が行われますし、また通常の審査と同様、疑わしい点がある場合はすぐに元の国に強制送還されます。


その後、大雨や洪水被害があったり、いろいろとほかの話題に押されてこの問題も注目を浴びなくなりましたが、また今回改めてスポットライトが。それは"Ultranationalist (超国粋主義、とでも訳すのでしょうか・・)"のStorm Allianceというグループが、ケベック州へのアメリカからの不法入国が良く行われる道路において、「監視活動」をすると宣言したことから始まりました。

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(監視をするStorm Allianceのメンバー。CBC Newsサイトより。)

この団体のリーダーは、元「オーディンの戦士たち」というフィンランド発祥の極右組織のリーダーだった人で、今回の活動についてはただ単に「不法入国者がどれくらいいるのか、自分の目で確かめたい」というのが趣旨のようで、強制的に排除する意思はない模様です、今のところは。ただ、コメントでも言っているように「正規の手続きでカナダに移民し、カナダの市民権を得ている人たちが大勢いる中、このような”反則技”は許してはいけない」という気持ちもある模様。まあ、そのあたりの気持ちはわからないでもありません・・。

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(Storm Allianceのメンバーたち。CBC Newsサイトより。)

もともとこのStorm Allianceというグループは小さな身内の集まりだったのが、今回SNSなどで拡散して多くの人たちは「現実を自分たちの目で確かめよう」と、不法入国者が頻繁に発生する場所を訪れたようです。余計なトラブルを避けるために、もちろん警察も出動することに。

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(トラブル防止のために警察も出動。CBC Newsサイトより。)

ただ、この運動に参加した人の言葉がとても印象的でした。それは「私たちは差別主義者じゃないし、移民を否定するわけでもありません。でも、きちんと正規の手続きを経てカナダへ移民してほしいし、また私たちの文化を尊重してくれる人に移民してほしいというだけなんです


これはその通りだと思いますし、これからの日本に対しても重要なヒントというかメッセージだと思います。私が前から言っているように、移民者がグループを形成して「数の力」で元々住んでいる人たちの生活を脅かすことが、一番懸念されることなんです。そしてそれが顕著な形で最近現れているのが、アラブ系・イスラム教徒のグループ・・。マンチェスターのテロ事件も、今のところはイギリス生まれのイスラム教徒の犯行という報道が出ています。


結局、生まれた地域の文化を尊重せずに、ルーツの国・自身の親が生まれた国の文化を尊重し、その2つが対立すると、ルーツの国を選ぶという状況が悲劇を沢山引き起こしていますよね、ここ最近。これに不安を抱く人が多いのは当然だと思います。


また機会があれば、別途マンチェスターのテロ事件も改めてお話しできればと思いますが、日に日にイスラム教徒・アラブ系を取り巻く環境、特に「移民者」として移民した国や地域で彼ら・彼女らを取り巻く環境は厳しくなっていると思います。結果論でしょうが、トランプ大統領の発言・意図が正しいという人たちが今後増えるような気もします。


難しく、繊細な問題ですが、私は個人的には宗教がらみのことはすべてトラブルを生むだけのものとしか思えません。。「イスラム教徒」である前に、「カナダ人・カナダの移民」という意識を持てるようになれば、問題はもっと簡単になると思うのですが、それが難しいのでしょうね・・・。


改めて、「宗教」の存在意義に疑問を感じ、また「不法入国」に対する不安を感じるニュースでした・・。


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