ケベック州に本拠地を持つ、カナダ全土に展開するコンビニと言えば「Couche-Tard」。でもケベック州以外のカナダにとっては「Mac's」と言う名前の方が有名かもしれません。


またこのCouche-Tardはアメリカのコンビニ・Circle Kも所有しており、カナダで一番大きなコンビニチェーン店(北米では2番目に大きい)なんです。

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(Couche-Tard、Mac'sそしてCircle Kのカナダ国内分布図。インターネットサイトより。)

そのCouche-Tard、コンビニと併設してガソリンスタンドも経営しているケースも多いんです。そして約5年前には、Statoil ASAと言うガソリンスタンド・小売店経営の会社を買収することでスカンジナビア半島への進出も行っています。


今このCouche-Tardが注目しているのがこのスカンジナビア・ノルウェー

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(Couche-Tard。よくお世話になっています。インターネットサイトより。)

と言うのが、人口約500万人ほどのこの国・ノルウェーにおいて、約12万台の電気自動車が一般家庭で所有されているんです。これは人口比で考えるとカナダの約23倍にもあたります。
また今年6月のノルウェーにおける車の販売台数のうち、電気自動車が占める割合は約43%。これも、同比率1%以下のカナダとは比べ物になります。


つまり、ノルウェーは環境志向先進国であり、脱化石エネルギー(石油など)を進めている国


ここからCouche-Tardが学ぼうとしているのが、「(電気自動車が一般に普及した後、)ガソリンが必要なくなってもお客さんに来てもらうようにする店づくり」。

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(ケベック州以外での店舗名称・Mac's。インターネットサイトより。)

と言うのが去年2016年のCouche-Tardの粗利益に占めるガソリン販売は約40%、また売上高に占める同項目は約69%と、ガソリン販売への依存度が高いんです。


ただし、Couche-Tardは電気自動車用の充電施設も約15の拠点(ガソリンスタンドだと思いますが)で持っているんです。


が、果たして電気自動車が普及した後、充電のために今までのガソリン車と同様、人々は「ガソリンスタンド」に来るのでしょうか?充電施設が別にあればそこに行くでしょうし・・・。それこそが今Couche-Tardが考えている将来的な成長戦略のポイントだと思います。

この部分は、他の大手の小売業とかも考えているところだと思うからです。
例えばIKEAやレストランなどお客様に来てもらう施設では、こういった電気自動車用の充電施設をすでに提供しているところもあります。つまり今後は異業種がCouche-Tardのライバルになるわけです。


また、大手石油関連会社も自社のガソリンスタンドビジネスを手放し始めており、例えばImperial Oilと言う会社はEsso500店舗ほどを売却。うち半数ほどがCouche-Tardの傘下に入ったそうです。


こういった状況にCouche-Tardの株主等が不安を感じたために、上記電気自動車先進国のノルウェーに学ぼう、と言うのがCouche-Tardの成長戦略の第一歩のようです。


これってすごく良いことだと思います!行き当たりばったりで活動している会社が多い中(それは大手・中小関係なく)、きちんと先を見据えて行動している姿勢には好感が持てますし、信頼も置けます。


やっぱり会社としての安定感って、その経営陣の性格が出るんでしょうねー。少なくとも個人的には、(ガソリンスタンドビジネスが斜陽状況とはいえ)Couche-Tardの行動は素晴らしいと思いますし、優良企業だと思います。



しかもCouche-Tardはケベック州ベースの大企業。ぜひぜひこれからも成長していってほしいものです!

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