日本の雑誌・アゴラに、希望の党の衆議院議員・玉木雄一郎氏のブログの天才が出ていました。
その題名が「希望の党は、カナダ自由党に学べ

詳しくはこちらを:
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171029-00010005-agora-pol


ただこれって、結局「党勢が著しく後退した党をV字回復させた」点にしか注目していない記事、意見ですよね。であれば、別にカナダのLiberal Partyだけでなく、他の多数の国々にも同様の歴史はありますし、また日本でもそれこそ2012年の総選挙で一気に政権奪取した自民党があります。それを参考にすれば??とも思いました。

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(2013年総選挙時のトルドーさん。YouTubeサイトより。)

まずそもそも、2013年のカナダ総選挙時点で、トルドーさん率いるLiberal Partyは政権交代まで予想させるほどの大きな支持は得られていませんでした。期待はある程度ありましたが、「一気にトルドーさんを首相に・Liberalへの政権交代を」っていう雰囲気ではなかったと思います。なんというか、「あっという間に」トルドーさんが政権獲得してしまった、っていうイメージですね。また、ジャスティン・トルドーさん自体が、お父さんで元カナダ首相のクレティエン・トルドーさんの知名度をある程度受け継いでいたという点、そしてこれが一番大事な点ですが、それまで8年間続いたConservative政権・ハーパー首相の政権運営への批判が予想以上に大きかった、という点があげられます。


一方今回の日本の総選挙はどうでしょうか?
小池さん率いる「希望の党」は、言ってみれば「小池さん」というオーナーが、自分が首相になるために作った政党。カナダや他の国の歴史ある政党のように、「政策・ルール」等を共有する人・賛同する人、もしくは既存政党に対する対抗という意味合いでできた政党とはちょっと違う気がしました、個人的には。いわば、「小池」という「名前」がまず前面に出て、その人に賛同する人が集まる党、小池さんのための党、という感じです。


また、2013年のカナダの総選挙と同様、政権政党である自民党に対する若干の批判が出ていたとは思いますが、それでも政権交代にまで至るような大規模な現政権に対する「NO」が国民の間に巻き起こっていたでしょうか??私はかなり疑問です。

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(同じく2013年時点でのトルドーさん。CBC Newsサイトより。)

最後に、記事の中で「現実的な外交・安全保障政策と、中間所得層に手厚く分配するリベラルな国内政策。愚直に訴えれば、必ず活路は開ける。希望の党は、今こそ、カナダ自由党に学ぶべきだ。」とありました。


これこそ昨今乱立する日本の新政党の主体性のなさというか、「当選すれば良い・議員数さえ増えればよい」という考えなのかな、と思いました。カナダのLiberal Partyはその結党以来、左派的な考え・政策をそれこそ愚直に推進してきています。でもこれはLiberal Partyだけでなく、例えばライバルのConservative Partyは政権から追われようともこちらも愚直に右派的な考え・政策を推進してきて、それに対して有権者が投票する。。そういうシステムがカナダを含めてアメリカやヨーロッパではきちんと確立しているんです。


つまり、時代に合わせてある程度の修正は行うでしょうが、根本的な結党理念・政策はずーっと愚直に追い続けてきたものなんです。なので、有権者はバランスをとって、2013年の総選挙では8年続いたConservativeからLiberalに政権を移そうというバランス感覚が働いたんだと思います。つまり、有権者も政党も、日本と比べてよっぽど「大人」だからこそ可能なことであって、今の希望の党がカナダの政党に学ぶべきところはないと思います。というより、学ぶべき以前に、希望の党のそもそもの存在意義から考えるべきでは??


記事では上記のように「リベラルな国内政策」と言っていますが、そのリベラルな部分を排除したのは希望の党ですよね?

また、その政策に関しても自民党寄りにも見える部分が沢山あります。なので、「権力闘争」のための政党ではなく、「個人が自分の力に対して優越感に浸るため」の政党であり、かつその所属議員は「理念とか以前にとりあえず議員になりたいだけ」の、YESマン・すり寄りの人たちばっかり、というのが私のイメージです。


勿論、そういった人たちばかりでなく、きちんと日本の将来を考えている議員さんも所属していると思いますが、そういった人たちこそまずは希望の党という政党の存在意義から考えてみるべきではないでしょうか?


ちょっとこの記事をふと目にして、あまりにも上っ面だけのことだなーって思ったので、批判は承知の上で自分の意見を出させてもらいました・・・。



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