日本も終身雇用制度等が事実上崩壊しているとは言え、まだまだ労働者側にかなり有利な労働法。なので、企業側としたら簡単に解雇できない人を雇うことに戸惑いを持って、人手不足でも派遣とかで対応しているんでしょう、と個人的には感じていますがどうでしょう?当たっているかな??


やはりどうしても、「解雇しにくい(労働者保護が強い)」と、企業側は新規雇用に心理的ブレーキや警戒感を強めるのは当然だと思います。いくら試用期間があったとして、それでも解雇は容易でない・・・。となれば、これって一種のギャンブルですよね。そういうのを嫌うのは当然だと思います。


一方ここカナダ。州により違いはありますが、解雇は簡単。試用期間中(通常3か月)であれば、理由の如何を問わずに1週間前に解雇通知を出すか、1週間分の給与を上乗せしてその場で解雇が可能です。試用期間後も、勤続年数によって違いますが、大体2週間前から4週間前までの事前解雇通告もしくはその通知期間に相当する金額を上乗せして当日解雇が可能です。ただ、私の経験上、会社側は当日解雇(解雇予告通知期間分の金額を上乗せするケース)を選択するケースがほとんど。だって、解雇通知して、解雇まで働いてもらうっていうのはモチベーションもないでしょうし、機密情報の持ち出しの可能性もありますしね。


なので、よくアメリカ等の映画で、オフィスに出勤してすぐに解雇通知を出され、段ボールに私用品を入れているシーンがありますが、あれってそのまんまがよく起こっているんです、カナダやアメリカでは。


つまり、労働者の流れが活発っていえると思うんです。私もそうですが、たいていの人たちは転職を機に給料アップ・スキルアップをなしていくんです。勿論、日本のように一企業に長年勤めて頭角を現すケースもありますが、たいていは転職エージェントから引き抜き案件をもらったり、もしくは自身で転職活動してステップアップしていくのが通常のやり方。


アメリカでもそれは同じなんですが、去年2017年、大都市ニューヨークでこんな禁止事項が施行されました。それは、「転職・就職の面接時に、企業は応募者に”今のお給料、もしくは直近にもらっていたお給料はいくら?”と言う質問をしてはいけない。」というもの。

NY NOV042018 01
(ニューヨークで新たな試みが去年施行されました。Washington Postサイトより。)

これって結構画期的。私もここモントリオールで沢山の企業の面接を受けましたが、きまってこの質問をしてきます。これは一つには、企業側がこのポジションで考えている給料にマッチしているか、応募者のスキル・経験等が果たして今貰っている給料にマッチしているか、他の応募者と比べて割安感があるか、などなどを考慮するためだと思うんです。


でもニューヨーク市によると、この質問により、企業側は応募者に条件提示する際に不当に給料を安く設定できるっていう、応募者へのデメリットがあるというんです。特に女性やアフリカ系、アジア系など非白人系において。つまり、女性はそういった人たちは既にもらっている給料が相場(白人の)より低いことが多々あり、それを元に雇用企業は現在の給料にちょっとだけ上乗せして条件提示してくる。となると、いつまで経っても格差が埋まらない、と言うもの。


確かにその一面はあると思います。なので、これは良い法案かも。


だって給料を高く設定しても、確かに企業側にデメリットが出てくる可能性はありますが、その人の能力に対しては他の人たちと同様平等にお給料を払う形になり、結果不平が減る。また、そのお給料に見合わなければ、簡単に解雇できる土壌がありますし、私はこのルールにより企業側も雇用される側も、特に大きなデメリットはないと思います。


まあ私も今の会社の前の会社で、自分の経歴やスキルに比べてかなり安い給料を提示され、しかも1年以上全く勤務評価も昇給もされず、本当その会社を早く辞めたい!って思っていました。幸い、今の会社は本当に良いところで、前の会社がいかにブラックだったかと言うのがよくわかりますし、離れられて本当に幸せ。今の会社の面接時にやはり前の会社でのお給料額を聞かれましたが、それよりもはるかに大きい額でとても満足できる額を提示してもらったのをよく覚えています。


このニューヨークの試み、本当に働く側にはメリットが大きいと思います。日本でも少しずつでも労働環境が変われば、今の労働不足の面も改善できる可能性があるのでは?と思いますが、どうなんでしょうね??







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