日本では韓国とのいざこざが大きな話題になっているようですが、この新在留資格も高い注目度みたいですね。


私も当ブログで何度かこの新在留資格についてお話させていただきましたが、また改めてお話させていただければな、と思います。


ざっと日本のニュースを見たところ、この新在留資格(出入国管理改正案)、簡単に言うと以下のように分けられているんですね:


- "相当程度の知識または経験" - 「特定技能1号」 (在留期間は5年・家族の帯同は認めず)
- "熟練した技能" - 「特定技能2号」 (在留期間を撤廃、さらに家族帯同も認められる)


と。ではまず、"相当程度の知識または経験"と"熟練した技能"の線引きはどうなっているんですか?

例えばその技術を使って賃金を得ていた期間で計算するんでしょうか?その場合、どうやってその「勤務実態」を裏付けるのでしょうか?


これが例えば、医者であったり弁護士であったりと、いわゆる「(国家ないしある一定の権威からの)資格」がある場合は簡単でしょうが、でも今回のこの新在留資格の対象って以下の業種ですよね?

- 外食
- 宿泊
- 介護
- ビルクリーニング業
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業(水産加工業含む)
- 素形材産業 
- 産業機械製造業 
- 電子・電気機器関連産業 
- 建設業 
- 造船・舶用工業 
- 自動車整備業 
- 航空業(空港グランドハンドリング・航空機整備)


・・・・・。

「宿泊」業界において、"相当程度の知識または経験"及び"熟練した技能"を持つって具体的にどういう経歴・経験を持っている人たちですか?そしてそれをどう確認するんですか?
また「外食」業界でも同じことがいえると思うですが、そもそも「熟練した外国人に作ってもらわないといけない」ごはんって何なんですかね?ちょっとこの辺りの点で私はこの新在留資格の意味が分からないんです。


というのは、"相当程度の知識または経験"とか"熟練した技能"とある割には、対象となる業種が基本的には「単純作業・力作業」が多いっていう点。つまり、「短期間で十分相当の経験が積める」業種だと思うんです。


それ以外の産業や業務内容もあるでしょうが、でも例えばカナダで"相当程度の知識または経験"や"熟練した技能"等で移民してくる人たちって、医者であったり、特殊は分野の博士号を持っていたりと、ソフトウェアエンジニアであったり、「社会的需要が高く、且つ習得・修練に長時間を要する」ようなものが多い気がします。


なので、この新在留資格は、要は「人手が足りない単純作業に外国人を雇う」ためのものであり、実際"相当程度の知識または経験"や"熟練した技能"は匙加減一つでいくらでも変えられるものっていう、私は極めて危ない設定だと思います。


まだまだ疑問があります。「特定技能2号」の家族帯同ですが、「どこまで」家族と認めるんですか?妻、子供まで?両親まで?兄弟も含めるの?またそうして帯同して日本に来た家族は日本で合法的に働けるんですか?


正直、上記業界での作業で得る収入はそこまで多くはないと思うんです。その上で(物価の高い)日本で家族を養う・・・。場合によっては生活保護費の申請もするかも。また家族の持病の治療で日本の病院を利用するかも。


いくら日本政府がきれいごとを言っても、「日本に来る」人たちからすればこれは実際には「移民」と変わりないと思うんです。そうなると、実際に働いている人に支払うお給料、そこから引かれる社会保障費以上の社会保障費を日本が負担することになる(帯同家族のために)と思うんです。
ちなみにカナダでは帯同家族は基本的には労働できても滞在ビザの所属先のビザ(例えば旦那さんの労働ビザ、など)に準じたはず。。でも例えば生活保護とかは申請できません。それはあくまでも「家族を呼び寄せた」人が責任を持つものだから。これは家族を呼び寄せて移民させる際も同様。例えば私の場合ですと、私は奥さん(カナダ人)をスポンサーにして移民してきました。が、その移民時には「移民後5年間はスポンサーが生活の一切を保証しなくてはいけないので、生活費保護申請等はできない」ってありました。なので、その5年間、もし無職だったとしても生活保護費は受けれないんです。でもこれ、当たり前ですよね。日本のこの新在留資格も、そういった点はどうなっているんでしょうかね??

IMMIGRANTS NOV082018 01
(一歩間違えば、アメリカのように不法移民が大量に押し寄せるようになるかも。Washington Timesサイトより。)

さらに、この在留資格は個人に帰するのは雇用主の企業に帰するのか、そこもちょっとよくわかりませんでした。在留資格とは言え、これがいわゆる「労働ビザ」であるとしたら、カナダを含めて通常海外では労働ビザは「雇用主」が申請して発給してもらうことになります。


ただ、例えば留学生とかが大学卒業後に2年間だけ「オープン労働ビザ(雇用主ではなく、本人に帰するもの。つまり、働く会社を自分で選べる。)」を取得できるというような例外はありますが、基本出来には労働ビザは雇用主に帰するもの。つまり、「その会社以外では働けない=会社を離れるとその国では合法的には働けない」ものなんです。しかも、期限付き。なので、一定期間で更新しなくてはいけなくて、その間に永住権を申請するっていうのがこちらカナダでの永住権申請の一つの方法なんです。


ではこの新在留資格は誰に帰属するんですか?もしそれが個人であれば、もうこれは「移民」と同じですよね。


確かに上記業界は人手不足かもしれません。が、それを外国人で補うとしても、その周りの環境整備をせずに、「外国人受け入れありき」で話が進んでいる状況が怖いです。


もうちょっと丁寧に議論し、そして少なくとも海外の労働者受け入れに詳しい人(ただし、学者さんなどの”実地経験”のない人ではなく、実際に海外で労働者問題に直面したビジネスマンとか)の意見をしっかり聞いて、一つ一つ丁寧に進めていくべきだと思います。


そうしないと、何度か当ブログでも言っているように「数の力」で日本が内側から悪い方向に変わっていくことも十分考えられます。これも何度かご紹介しましたが、移民してきた人たちのアイデンティティとその国のルールが衝突した際、どちらに準ずるのか、というものがあります。カナダの連邦政府政党NDPの現党首はインド系カナダ人です。彼は国籍上カナダ人であり、またカナダの政党党首でもあるのに、インド政府に対して、自身のルーツである「シーク教徒に対するインド政府の対応」を非難しています。果たしてNDPの支持者は彼に「インド政府への非難」をしてもらいたくて党首に選んだんでしょうか?


こういった事例はたくさんあります、特にお隣のアメリカでは。これが移民国家の一つの弱点なんです。良い言い方をすれば「多様性」、悪い言い方をすれば「帰属問題・アイデンティティーの衝突」。


この新在留資格が進んでいくと、こういう風に「日本の国益とは反する人たち」が日本国内で、日本国籍を持った状態でグループ化して、日本という国・枠組みを壊していく、ことに繋がりかねないですけど、そこまで政府は考えているようには見えません。これは保守とか革新とか、右派とか左派とかいう問題ではなくて、「国というものの前提・根幹」を政府がどうとらえているのかな?というものだと思います。


私は、しかしながら、基本的には外国からの労働者の受け入れ(労働ビザの発給)には賛成です。でもそこには他の国と同様、厳しいチェックとルールを適用してほしいですし、同じように安易に「移民・定住」できるような抜け道は作るべきではないと思います。もちろん、移民・定住の道は作るべきですし、移民もある程度受け入れるべきだと思いますが、要は「誰でも比較的簡単に移民できる」のではなく、「厳しくチェックして、きちんと日本の将来のため・日本の国益のために必要な人材を」移民できるようにするべき。そしてそれには毎年移民数上限を作って、むやみに移民させない。これは各国同じで、年間の移民受け入れ数には制限があります。


そうしないと、安易な移民政策を推進した結果が今のヨーロッパ、とくにドイツや北欧での移民に対する不寛容な雰囲気や、イギリスのEU離脱及びトランプ大統領の誕生に繋がっているわけですから。


長くなりましてすいません・・・・。でも本当にこの問題はしっかり考えてほしいんです、日本人および日本政府に。カナダやアメリカ等のように建国当初から移民国家として存在してきた国ではなく、現状やむを得ず外国人の受け入れを拡充せざるを得ないのが日本ですよね。であれば、しっかりと移民受け入れ先進国・外国人労働者受け入れ先進国の今までに至る紆余曲折、問題点、そしてその対応方法等をしっかり歴史から学んで、日本という国に一番良い方法で問題解決を選んでほしいと思います。


私は基本的に安倍首相の経済政策や国政運営には好意的、特に外交関係はすごくよくやっていただいているって思っているんですが、この問題だけはちょっと稚拙というか拙攻というか、慌てすぎなような気がします・・・。








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