世界中で問題になっているヘイトクライム。人種や宗教、文化的な違いを元にした差別であり、本来断じて許されない行為ですが、様々な要因が複雑に絡み合って、ヘイトクライムは構成されているっていう風に思うんです。難しい問題です・・。


さてそんなヘイトクライム、ここカナダにおいては2017年に警察に通報されたものが、初めて2,000件を突破し、急激な増加傾向を見せています。折しも別の記事にて、「ケベック州においては、人種差別の割合が減ってきていると感じている人たちが増えている」と言うものがあったばかり。正反対の結果がこのニュースからは見て取れます。

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(2014年から増加傾向、そして2017年に急激に増加。CBCニュースサイトより。)

ここケベック州に目を向けると、2017年はモスク襲撃事件があり、その後に特にイスラム教徒に対するヘイトクライムが増加したそうです。またカナダ最大の都市・トロントにおいては、同じく2017年、イスラム教徒に対するヘイトくらいの増加率が207%、アフリカ系に対するものが84%、そしてユダヤ教徒に対するものが41%と、こちらもかなりの増加となっているみたい。


この調査によると、宗教的にはイスラム教徒、人種的にはアフリカ系(黒人)へのヘイトクライムが増加しているそう。

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(宗教・性的志向別によるヘイトクライムの推移。CBCニュースサイトより。)


ただ、私の実感ですが、ケベック州ではアフリカ系に対するヘイトクライムってあまり見ないんですよね。私がただ単にそういうものを見ていないだけで、実際はあるんでしょうけど、逆にイスラム教徒に対するものはちょくちょく見かけます。見かけるのは「落書き」ですが・・・。でもそれだけを見ても、ケベック州ではよりイスラム教徒に対するヘイトクライムが多く、アフリカ系はあまりないっていう感覚でしたが、どうやら違うようですね・・・。

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(人種別のヘイトクライム推移。CBCニュースサイトより。)

でもこれ、多分例の「不法入国者」の影響だと思うんです。と言うのは、この不法入国者って大半がハイチとかナイジェリアとかアフリカ系。なので、現在のリベラル党の政策に反対する人たちの批判が、リベラル党だけでなく、アフリカ系全般に広がっている、っていう可能性も大きいと思うんです。


ともあれ、残念ながらまだまだ人類は宗教的・人種的な対立を解くことができていません。いわんや、文化的背景・歴史的背景等が違うことを乗り越えるのなんてまだまだ先だと思うんです。こういった現状を理解した上で言わせてもらうと、やはりちょっと前まで世界的なトレンドだった「リベラル主義・思想」はちょっと行き過ぎだったと思うんですよね。いわゆるヨーロッパやアメリカでの「移民政策」です。


しっかりと上記部分を乗り越えてこそ、受け入れる方も納得していけたと思うんですが、一部の「リベラル原理主義」とも言いましょうか、現実主義との対比で言うと、「少数派の意見も、いや少数派の意見こそ一番汲み取られるべき」と言う理想論・考えにしか私は見えない人達(=リベラル原理主義、って私は勝手に呼んでいますが)が政権を取った国で、現在起こっていることを考えてみてください。土台がしっかりしていないのに、性急に「人」だけ入れたものだから、「家」自体がつぶれつつありますよね。


特に国連の移民政策に関してはアメリカだけでなく、オーストラリアやヨーロッパ諸国も反対の意を表したりと、この性急すぎたリベラル原理主義の反動が今世界各国出ていると思うんです。このカナダ国内でのヘイトクライムの増加も、悲しいことですが、そういった結果の一端だと思うんです。


勿論ヘイトクライム・差別は無くなるべきですし、それは万人がそう思っていることでしょう。でもそれをただ、「ヘイトクライムは無くすべき」と言うだけでなく、その背後にある「対立」をしっかりとお互いの陣営が理解・認識してこそ、前進があるのでは?その部分に目をつむって、心地よい言葉に踊らされて相手側を非難するだけでは、今後何百年経っても真の解決はないと思います。


本当、根の深い問題であり、人類の究極の問題の一つかもしれませんね・・。







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