まずはなんと言ってもタイで亡命申請していた、18歳のサウジアラビアの女性の申請をカナダが受け付けた・受託したことですね。
(トロントに到着した亡命したサウジアラビア女性。良かった!Global Newsサイトより。)
私はこれは久しぶりにカナダ政府は「よくやった、迅速な対応をした」と思いました。まあ、「人道派・リベラル派」を自称しているトルドー首相ですから、ここは「見せ場」ですもんねー。
そういった思惑があったとしても、亡命申請をカナダが受理したのは本当に良かったと思います。私もドバイにいた時によく聞かされましたもん、サウジアラビアの男尊女卑のすごさを。なのでこれは素直にうれしいニュースです。ただ気になるのは、去年からギクシャクして対立していたサウジアラビアとカナダの関係が更に悪化する恐れもある、と言うもの。ただし、例のカショギ事件でサウジアラビア自体がそれどころではないというのもありますけどね。サウジアラビアの反論と言うかコメントに注目ですね。
もう一つは、カナダ中部・サスカチュワン州のReginaと言う都市のRegina大学でトルドー首相がタウンホールを開いた際の出来事。ここである男性が、トルドー首相の「イスラム教徒移民受け入れ拡大政策」について非難し、「キリスト教的考えとイスラム教的考えは一緒にならない。お互いに分かり合えない。」と言う趣旨の発言をしたんです。
これに対してトルドー首相は人道的な面からのイスラム教徒、特にシリア難民に受け入れを説明したり、移民がカナダ経済・社会を大きくしていった旨の説明をしていました。
私はこの男性の発言を聞いて、「そんなことはない」と思いました。と言うのはキリスト教もイスラム教も出どころは一緒。つまり同じ”親”を持つ”兄弟”のような宗教だから。まあだからと言って分かり合えるかと言うとそれは難しいですが、ただ「絶対に分かり合えない」と言うのはないと思いますよ。
問題は、カナダの移民政策だと思うんです。これは日本でもしっかり参考にしてほしいんですが、カナダが受け入れている移民のうちで、「カナダの価値観・カナダの文化・カナダの歴史」を尊重せず、自身のルーツの国・地域のものを優先する、と言う人たちがいるということ。結果そういう人たちが増えることで、地元カナダ市民との軋轢が大きくなるんですよね。
ここの部分をしっかり移民を受け入れる際にチェックすれば、私はカナダの移民政策はOKだと思うんです。ただ、現トルドー政権ではそのチェックはあまりされていないというか、そういうことは考えていない気がするんです。
例えばいまだに解決の糸口が見つからないカナダと中国の外交摩擦を例にとると、本来「カナダ人」である中華系が一斉にカナダ政府を非難しました。そしてあからさまに自身のルーツである「中国」を擁護する運動を始めたんです。つまり、書類上の国籍である「カナダ」の恩恵を受け、本国中国では得られない自由・平等を楽しみながら、いざ対立に発展するとその恩恵を被っている「カナダ」を害する行動をする・・・。
日本の移民政策もしっかりこの点をチェックしてビザ等を出すようにしないと、いついかなる時に「国内」から崩れるかわかりませんよ。。。実際、カナダでは数の力で中華系の国会議員も沢山いますし、また野党NDPの党首のようにインド系も多くいます。
時代の流れで価値観を少しずつ調整していくのは必要なことだと思いますが、数の力である一部の人たちの利益・要望だけで根本を変えるのはやはり地元民としては不安があるのは当然だと思います。
問題はそういった考えをトルドー首相が把握できない、理解できない所だと思います。それはニュースのコメント欄にもありましたが・・。「きちんとカナダの価値観・文化・歴史を尊重し、優先することができるか」を移民受け入れの条件に入れ、且つそれに反する行動をした場合は移民権を没収する。。。そこまできちんと整備しない限り、カナダ市民と移民(特にイスラム系と現在では中国系も)の間のギャップは埋まらないと思います。
勿論こういった摩擦を起こす移民はほんの一握りですが、だからと言ってそれを大ごとにしない・放っておくと、こういう風に市民感情が悪化していきますから、これはちゃんとカナダ政府が対応するべきだと思います。
また日本もしっかりとこういう状況を「参考」にしてほしいと思います!
ちなみにRegina大学でやり取りはこちらから:
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