ちょっと前に私見を述べさせていただいた、ケベック州のBILL-21。これはどういうものかと言うと、警察官や裁判官、教師など公共の仕事に就く者は職務中、宗教的シンボルのものを身に着けてはならないっていうもの。
これ、現ケベック州の政権与党のCAQ党が去年のケベック州議会選挙において公約として掲げていたもの。そしてその選挙で大勝したCAQ党が公約通りにこれを法制化するのは当然の動きでしょうね。「メキシコとの国境に壁を作る!」「移民を制限する!」と言って当選したトランプ・アメリカ大統領がその公約を実現するために動いているのと一緒です。
このBill-21に対しては、既に一部の市の市長や学校等が、法制化されても従わないっていう風に宣言しています。
そんな中、モントリオール市長のValérie Planteさんは、自身はBill-21に反対であることを述べた上で、「Bill-21が州議会を通過して法制化されれば、モントリオール市としてはこれに反対することはない」と述べたんです。つまり、Bill-21に従う、と。
これは、ある意味「当たり前」のことかもしれません、選挙で選ばれた市長さんとすれば。彼女は市長選の公約にこのBill-21に関することは一切触れていませんでしたが、同じように選挙でえらばれる州議会選挙においてCAQ党が大勝したのを見て、「州民の意見を尊重する」っていう考えからの発言では?と思います。
また、いつものように主要メディアはこのBill-21に対する反対運動しか流していませんが、CBCニュースではイスラム教徒の中でもこのBill-21を支持する人たちが一定するいるという記事を掲載。特に、イスラム国から移民してきた人たちの中にBill-21を支持する人が結構いるみたい。
私はこのうちの一人が語った言葉:「公共の場にあるものはニュートラルでないといけない」という言葉に納得しました。
本当に繊細な問題だと思うんですが、なぜこのBill-21が選挙戦で支持されたのか、なぜBill-21を支持する層が、イスラム教徒などBill-21の対象にまで広がっているのか、この辺りをしっかり議論して、反対派・賛成派で意見調整も必要なのでは?
「他者の全てを受け入れること = 正しいこと」と言う理想主義が広がった現代の「歪」というか、「当然の帰結」とういか、そういったケースだな、と思います。
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