総選挙を今秋10月に控え、政権与党リベラル党の党首であり現首相のトルドーさんが、ライバルである保守党への批判を強めています。彼はトロント近郊のMississauguaと言う街で行われたリベラル党の大会でサポーターを前に、保守党党首のAndrew Scheerさんを右派・白人ナショナリストと非難。また、オンタリオ州政府首相のDoug Fordさんについても非難しています。Doug Fordさんは去年のオンタリオ州の総選挙でリベラル党を大敗に追い込んだ保守党党首ですからね、トルドーさんにとっては都合が悪い人なんでしょうね。

Trudeau APR142019 01
(どれだけのカナダ人がトルドー首相の発言に賛同するんでしょうか・・。Global Newsサイトより)

トルドーさんは自身が進めた政策、二酸化炭素税や移民受け入れ拡大等の正当性を主張し、それに真っ向から反対する保守党を責めているようです。


また、自身の政権管理能力のなさ及び危機感のなさから招いたSNC-Lavalinスキャンダルでのリベラル党内部抗争について、「リベラル党内で争っても保守党を利するだけ」と、リベラル党内の結束を呼びかけました。


でもこのスキャンダル自体、トルドーさんが招いて、きちんと管理できなかったこと。それをあたかも「リベラル党内での権力争い」のように言われてもねー。要は、「何をして良くて何をしてはいけないか」をよくわかっていない上に、「マン・マネジメントが全くできていない」と言う、能力の欠如を見せつけただけでは??


更にトルドー首相率いるリベラル党はここにきてアメリカからの不法入国者について、その措置を厳しくする方向に舵を切りつつあるそうです。しかもあれほど不法入国者たちを「Irregular」(特殊なケース)という言葉で表現し、決して「Illegal」(不法なケース)とは呼ばなかったのに、ここにきて一変。

Trudeau APR142019 02
(結局不法入国者達への対応がリベラル党のアキレス腱になりつつありますね。Global Newsサイトより)

これ、実は去年の予算消化等で、この不法越境者達に使った予算額がかなりの割合を占めていて、予算を圧迫していた、と言うのが分かったからだそうです。詳しくはわかりませんが、まあ当然でしょうね。不法入国者達の宿泊施設の確保やそのための国境警備員の増員などが必要でしたでしょうから。


でもこれって露骨な「総選挙向けに有権者にすり寄っている」行為に見られているみたいです、ニュースのコメントを見ると。


今でもカナダ人の3人に2人はこの不法入国について不安を覚えていて、それを助長したとされるリベラル党としては、総選挙でこれがネガティブに働くことを最大限抑えるために、ここにきて舵を真逆に切ろうとしているのでは?と。


さらにさらに、リベラル党が舵を切ろうとしている方向はずーっと保守党が主張していた方向でもあるんです。つまり、リベラル党は自身の過ちを認めた形にもなりますね。


選挙向けに付け焼刃の「変化」を訴えたところで一度落ちた信頼は戻らないでしょうね。それはSNCスキャンダルにしても不法入国者問題にしても、トルドー首相及びリベラル党は自身の正当性ばかりを主張して、それを盾に保守党を非難していました。が、結局今の時点では、不法入国問題にしても保守党の主張に沿った方向転換をしているわけですからね。


SNCスキャンダルにしても「身から出たさび」。自身の反省がない状態で、「保守党を利するからリベラル党内での争いは止めよう」と言うのはお門違い。まずは問題点をしっかり解明するのが先では?それをせずに渦中の議員さんを締め出し、結束を訴えたところで、有権者は支持しないでしょう。


うーん、トルドー首相率いるリベラル党、本当に負けそうですね。








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