これ、昨日のブログを書いている時にふと思ったことなんですが・・。良いにつけ悪いにつけ、市町村レベルであれ国政レベルであれ、選挙って言うのは「現職に対する信任投票」っていう側面がかなり強い気がします。漠然とですが、選挙って「候補者同士が選挙公約を出し合って、その公約を投票者に評価してもらう」っていうイメージがあるんですが、現実は違うなーって、思います。

Vote NOV272019 01
(投票者の心理ってとても大事なのでは。BBC.comサイトより。)

例えば3年前かな、前回モントリオールの市長選。例えば、昨年のケベック州議会選挙。モントリオール市長選挙では政治未経験だった現在の市長Valérie Planteさんが現職を破って初当選。ケベック州議会選挙でも、当時野党だったリベラル党が大敗を喫し、現政権与党のCAQ党が大躍進しました。当時は何の疑問もなく、「政権交代が起きたんだー」くらいの感覚でしたが、今改めて考えると、ちょっと違う視点で見れるようになりました。


例えばモントリオール市長選。これって、現市長のValérie Planteさんの政権公約を支持した人が多かったというより、元市長のそれまでの市政運営に対する反対票がValérie Planteさん側に回った、と言うのが正しいような気がするんです。「元市長にこれ以上市政を任せられない!」っていう人たちがValérie Planteさん側に流れた・・。これが的を得ているような気がするんですよね。


問題は、そういう事情があったとしてもValérie Planteさんが勝ったことで、彼女の政権公約が「支持された」形になること。勿論積極的に彼女の政権公約を支持した人たちもたくさんいたでしょうが、彼女が当選できた大きな理由・勢力は上記のようないわゆる「相手側に任せられないからこっちに来た」人たちだと思うんですよね。これがいわゆる「岩盤支持層(彼女の政権公約を支持する層)」と「浮動層(前回は元市長を応援したくないので彼女の側に回ってきた層)」だと、個人的には考えています。


となると、厳密には彼女の政権公約は諸手を挙げて支持されているわけではないっていうことですよね。でもその部分でいちゃもんをつけると、そもそも選挙制度がおかしいとか、投票に行かない人が増えるとかの問題が出てくるので、選挙に勝った=政権公約が支持された、とみるようにしているんだと思います、一般的には。でもその中ではどうしてもやっぱり「ずれ」が生じてしまう。。。。それで失望した人たちが次の選挙で対立候補を応援する・・。選挙って結局この繰り返しだと思うんです。これはケベック州議会選挙でのCAQ党にも同じことが言えると思います。


つまりどうしても「現職」が軸になり、現職のこれまでの実績への評価と言う面が強いため、対立候補が選ばれる場合はその政権公約や理念よりも、「消極的選択」により選ばれることが多い・・。これはカナダだけでなく、世界的にもそうなのかもしれませんね。いわゆる「政権交代」って、この繰り返しなんでしょう。例えば、現職が引退しての「新人同士」の戦いであったとしても、結局はその次の選挙で現職が立候補すれば上記状況になりそうですしね。


何でこんなことをふと思ったかと言うと、やっぱり昨日のブログでのことで、Valérie Planteさんが選挙公約で掲げた目玉政策・「ピンクライン建設」について、実際どれくらいの市民がそれを支持しているのかな?って思ったからなんです。本当にピンクラインが必要だと思って投票した人よりも、元市長への反発からValérie Planteさんへ投票した人の方が多い気がして・・。


この「元市長へは投票したくないけど、でも新人の選挙公約にも賛同できない」人たちの意見をどうやって掬い取るのかが大きな問題のような気がします。多分、そういう人たちは投票自体をあきらめているのかもしれません。まあそもそも選挙自体、「いづれか良い方・ましな方を選ぶ」っていう「不自由」な形なだけに、この点はもう永遠の課題と言うか、しょうがないところなのかもしれませんね。でもそうすると、結局いづれ投票者と施政者の間で「ずれ」が起こって、政権交代に繋がる・・。そうして世界は回ってきたのかもしれませんね!


ちょっと長くなりましたね、本日のブログ。長々と読んでいただきありがとうございましたー。







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